今日も雨、明日も雨


息を与えるように、でも逆に呼吸を奪われてしまうような、そんな口付けを繰り返す。


「はぁっ」


しつこい。
欲求不満か、こいつ。
密やかに悪態を吐く自分とは裏腹に行為は激しさを増していき、自分から求めていることに内心苦笑を洩らした。


「ーーーっ」


叫びにならない叫びを上げて、行為は終了を迎えた。
乱れた息を整える自分の上で自分に寄り掛かるような男に、スパークした頭では何の悪態も吐けない。


「悪ぃ、ツナ」

「なにが」

「ヤりすぎた…」


自覚はあってよかったよ。
何かあったんだろ、多分。
じゃないと、この男はオレが押し倒すまで、我慢することもある。
あと…酒の酔いに任せた時は別だったな。


「なぁ」

「やっぱり怒ってるよな?」


オレに覆い被さったまま、肩口に顔を埋めて反省している男がなんだか愛しくて仕方ないのは惚れた弱みか。


「もしさ、オレが今実は女なんだ。とか言ったら、お前どうする?」


吐けない悪態の代わりに、密やかな意地悪を許してよね、武。
ガバリと起き上がって、オレの顔を見つめる武は真意を探っているのだろうか。


「ツナが女だったら、万々歳だけど」


サラリと、問題発言をしてくれるな、こいつ。


「こんだけ中出ししといて、イイのかよ」


呆れたように言ってやれば、事もあろうに武は嬉しげにはにかんだ。


「別に構わないぜ。むしろ、ツナが女だったら、これだけヤることヤってんだから、妊娠してるだろうし、既成事実が出来て、ツナが俺から逃げられなくなってイイよな〜」


はにかんで言う台詞じゃないな。
逃げられなくなって、ねぇ。
チゥッと武の鎖骨辺りにキスマークをつけてやる。


「お前もオレから逃げられなくなるんだぜ?」


それでもイイの?
ニヤリと笑って、言外に訊いてやる。
多分、今のオレはかなり悪い顔をしてる。
自覚はあるよ。


「今更、逃げるつもりなんてねぇしな」


仕返しとばかりに、髪を避けて、項辺りに吸い付かれた。
暫く、髪を上げれないな。
身体とは関係なく、冷静な判断をくだす脳内は凄いと思う。


「もっかい、」


かなりその気な武を拒否する理由も思い付かずに組み敷かれる。
考えれば、明日の予定とかいろいろあったのに、何やってんだよ、オレ。


「愛してる」


まるで、逃がさないというような愛の囁きは、鎖みたいだ。
ユルユルとキツくはないのに、気付けば雁字絡めで、身動きなんてとれない。


「愛してなかったら、こんなこと許さないから」


苦し紛れの言葉は精一杯の強がり。
随分と前に予定を立てた愛人様との明日のデートは中止だな。
武の激しいキスの中、ぼんやりと考えていた。





多分出かける気にもならないだろうから

だって

今日も雨、明日も雨
written by SHIKI,2007/09/06
お題⇒アコオール≫オーエス




もうちょっと伏せろよ、自分(ホントにな)
実は別で持ってるサイトで書いたネタを書き直しました。
未来で8027。
しかも、黒80にスレ27っぽい。





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