濃霧の真ん中




「つなよしくん」


彼が甘い声でオレを呼ぶ。
オレはあえてその声を無視した。
だって、彼はオレを愛しているわけではないのに、甘い恋人に使うような声をオレに対して使うから、なんだかムカついたのだ。


「つなよし、くん」


もう一度、呼ばれた。
彼は決してオレをボンゴレやボスとは呼ばない。
彼がオレをそう読んだの過去の話であり、実際にオレがボンゴレ10代目に就任すると、それを認めないとばかりに、綱吉と名前を呼ぶようになった。
マファアが嫌いだから。
マファアを憎んでいるから。
だから、自分が関わるオレがマファアのボスであってはならない。
そういう原理なのだろうと、彼とよく似ていて否なる彼女が言っていたと、頭の片隅で思い出した。


「つな、よし、くん」


さっきよりも、はっきりと発音されるオレの名前。
それに、今度は反応することができなかった。
後ろからオレを包みこんだ温かかな存在の所為で。


「むくろ…」


思ったよりも、温い。
オレは骸が冷たいとでも思っていたのだろうか。
何故か、温かかなその骸の体温に驚いていた。


「やっと、呼んでくれましたね」


クフフと彼独特の笑い声が身体を伝い、振動としてオレに知らせた。




あぁ

今日も

気持ちは


濃霧の真ん中
written by SHIKI,2007/09/04
お題⇒アコオール≫オーエス





初書きの骸綱です。
骸→←綱ですが(苦笑)
素直にアピる骸様とそれに気付かない鈍感綱吉。
多分、ひば様あたりに「いい加減鬱陶しいからくっつけば?」とか言われてはじめて両思いに気付くんだと思います。




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