それでも貴方が好きだから


しとしとと雨が降る中、初代ボンゴレボスの葬送はしめやかに行われた。
とは言っても、参列しているのはファミリー内でも一定以上の地位のものばかりだ。
遺体もなにもない空っぽの棺に土をかけられている。


「嫌いだ」


そう呟いたのは、ジャッロだった。
俺たち7人のうち、一番彼と仲が良かったのに。


「嘘吐きだね、ジャッロは」

「インダコ、喋らない方がいい」


インダコの言う通り、ジャッロは嘘つきだろう。
それから、アランチョが言う通り、インダコはそれ以上喋らない方がいい。
ジャッロの愛銃が火を噴くだろう。
なんせ奴は気が短い。


「1人でなんか逝かないで欲しかった」


空を見上げて俺は言う。
空は彼のようだ。
いつもは青空のように朗らかに笑って、時には雨のように涙し、雪のように凍て付いた視線をする。
そして、夕焼けのように哀しげに笑うのだ。
彼は、俺たちを遺して逝ってしまった。
俺たちの見知らぬ東の国で。


「ヴィオレット」

「悔しいです」

「俺たちもだ」

「チェレステ」


泣きたかった。
泣いて縋りたかった。
彼を最後に見たのは、俺だった。
思い出すのは彼の笑顔。


『ヴィオレット、内緒だよ』


シィーッと人差し指を口にあてて、コートを翻した後ろ姿に縋れなかったのは自分だ。
あの日、おいて行かないでと、言えたなら、今は変わっていただろうか。


「ヴィオレット、帰るよ」

「うん」


インダコに促される。


「ジャッロ」


いまだに棺の埋められた場所を見つめているジャッロの後ろ姿に声をかけた。
ふと、ジャッロが天を仰いだ。


「雨が降ってきやがった」


雨なんて降っていない。
でも、そんなことは言わなかった。
みんなの心に雨は降っていたし、それを言うのは憚られた。
天を仰いだジャッロに、背中を向ける。


「そうだね、雨が降ってきたみたいだ」


ジャッロが泣けるように、俺はそこを後にした。
みんなが泣いていた。
おいて逝かれたにも関わらず。




それでも貴方が好きだから





ヴィオレット語りの初代葬式。

ヴィオレット(violetto)=スカル
チェレステ(celeste)=コロネロ
アランチョ(arancio)=ラル

なんですが、スカル以外色が曖昧なんですよね(苦笑)
スカルが紫なのはコミックスも読み返してチェック済みなんですが、コロとラルが・・・。
一応、当時何軒かサイトを回ってコロ=水色、ラル=橙にしてみました。
つか、最近、スカルが好きすぎて困る。
早く大人スカルが見たいんですが。
虹27大好きですよー。

てか、この葬式のシーン、何を参考にしたか丸分かりだわ…。
名言だもん「いかん、雨が降ってきたな」は。




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