悲しみ憎しみ、そして怒り
あいつが居なくなった。
俺たちの親友…いや、ボス。
目の前から消えただけで、どうしてこんなにも不安になるんだ。
「Giallo」
「なんだ、U世」
本来はまだ決まってない。
まだこいつがボンゴレU世となるかは、これから決まることだ。
だが、こいつに決まるだろう。
奴が居なくなった今にここを纏められんのはこいつしかいない。
「まだ俺はU世じゃない」
溜息混じりながらも、律義に返すこいつは、やっぱり奴の血縁者なんだろう。
ぞんざいなように見えて、意外と細かい。
「T世の居場所がわかったらしい」
「は?」
思いっきり間抜けな声をあげた自覚はある。
「Indacoの念写で見つかった。ただな…」
「死んだのか、あいつ」
ぽつりと呟いた俺に、U世は首肯した。
今まで、インダコが力をどれほど使っても引っ掛からなかったのに、急に引っ掛かったってのはそういうことだ。
阻止していたあいつ自身が死んじまって、阻止する者が居なくなった。
「すぐに緊急召集がかかる。そしたら、お前がU世だ」
U世の肩をポンッと叩いて、廊下を歩きはじめた。
あいつがいた頃は、俺の前にはいつもあいつの背中があった。
このでっかい組織を束ねているのに、細く小さいその背中を守るんだと、ずっとこの世を去るまで守り続けるんだと信じていた。
「Arrivederci,Giotto」
風に乗ってあいつに届くだろう。
虹の名を俺たち幹部の総称としたあいつなら、きっと。
おいて逝かれた俺の中に渦巻くのは…
悲しみ憎しみ、そして怒り
実はリボ様語りだったり…。
Arrivederciという単語は男が使うとさようならだけの意味が強いらしいです。
イタリア語って面白いですよねー。
初代の親友7人はアルコバレーノで、アルコバレーノたちの名前は色にしてみました。
リボ様は黄色のおしゃぶりだったので、Giallo(ジャッロ)という名前にしました。
作中のIndaco(インダコ)は藍です。
Indacoも男の人が使う言葉らしいです。
Blu(ブル)でもよかったんですが、Indacoの方がなんかよかったのでこっちに。
U世のモデルはもちろん…ザンザスさん。