それは自ら望んだ事


不思議な夢を見た。
一緒に寝た所為だろうか。
夢でオレと一緒にいたのは、隣で寝ている骸だった。


「なんだって…あんな夢」


自分が死ぬ夢は生まれ変わるとかってので良い夢らしいけど、見る本人として悪夢だ。
たとえ、恋人の隣で死ぬ夢だったとしても。


「アリヴェデルチ…か」


渡伊するまでにリボーンに叩き込まれたイタリア語は役に立っている。
ただ、オレの発音はかなり悪いらしいが。


「Arrivederciですよ?綱吉くん」


突然聞こえた声に寝ていたハズの骸に視線を向けた。


「ゴメン、起こした?」

「いえ」


いつも浮かべている笑みを浮かべる骸。
この笑顔は一種のポーカーフェイスだ。


「どうしたんですか?急に」

「夢でさ、オレが言ってたんだ」


骸に。
という言葉を続けようとしてやめた。
そういえば、聞き覚えがあると思ったのを思い出した。
日本で骸とはじめて会ったあの闘いで、骸が言っていた言葉だ。


「意味はわかりますか?綱吉くん」

「わかんないよ」


日常会話に使う言葉にあった気もする。
ただあんまり使わないから、忘れた。
意味はなんだったか…。


「さようならという挨拶です。ただ…」

「ただ?」

「また、逢いましょうという意味合いもありますが」


さようなら。
オレは死ぬ間際に挨拶なんかしないだろう。
多分、あの言葉には後者の意味を含んでいる。


「綱吉くん…」


ギュッと骸に抱き締められた。


「骸?」

「あなたは僕をおいて逝かないでくださいね」


おいていく。
オレは?
骸はいったい誰においていかれたんだろう。
まさか、本当に夢のオレが骸をおいて逝ったのだとしたら?
多くは語らない骸に、不安が募る。


「オレは、骸と一緒にいるから」


弱いオレはいらない。
みんなを守らなくちゃいけないんだ。
大好きな人たちを。


「もう少し寝ましょう。起きたら、書類が貯まってるんでしょう?」


温もりに包まれて、目を閉じた。
もう、あの夢は見ないのだろうか。




それは自ら望んだ事





夢オチというわけじゃないんですが…。
現世6927。
69が変態じゃなくて、書いた自分がビックリしてしまいました。
イタリア語なんてわかんないのに、イタリア語満載のネタばかり思い付く自分に泣きたひ…。




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