臨也side



流れている噂くらい知ってた。
彼女とは言われてるけど、それが彼女なんて言葉に当て嵌まらないシズちゃんを指して言われてるコトぐらい気付いてた。
だけど、そんなの気になんないくらいに俺はシズちゃんが好きだった。
ずっと、ずっと、それこそ、来神に入学する前、俺達がまだ出会ってなくて、新羅からの情報でしか知らない頃から。
ただの興味本位は、シズちゃんを一目見て、好意に変わった。
人間が好きで、でも、それ以上にシズちゃんが好きになった。
どんなに肉体的に傷付けても壊れない。
なのに、力を使えば使う程、シズちゃんは精神的に傷付いていて、それでも、それを表には出さなかった。
そんなシズちゃんが好きで、好きで、堪らなかった。
急に訪れた転機。
面倒臭くなって信者の子達との関係を切っていた時、修学旅行先の宿でシズちゃんと同じ部屋になった。
シズちゃんと素面でなんて向き合う自信がなくて、適当にちょろまかした酒をどんどん煽った。
眠そうな目で俺を見るシズちゃんに、ダメだって判りながらも、欲情した。
眠気の所為か緩やかにしか抵抗しないシズちゃんに跨がって、気付いたら、シズちゃんと繋がっていて、俺はあられもなく喘いでた。
終わったら、シズちゃんが身体を綺麗にしてくれて、抱きしめられて寝た。
抱き枕みたいだなんて思ったけど、あの馬鹿力のシズちゃんが俺を潰さないように力加減して抱きしめてるのがわかって、無茶苦茶に泣きたくなった。
というか、静かに泣いたんだけど。
勿論、夢で終わらせたくなんてなかったから、修学旅行から帰ってからもサボってるシズちゃんにけしかけたりとかした。
それから、ズルズル続いた俺達の関係。
シズちゃんが断らないのをいいことに。
そして、魔法はいつか効果がなくなるというコトを知る。


「やめようぜ、俺達」


コンビニ行こうとか、そういう風に言うシズちゃんに頭がついていかなかった。
ただ、言われた内容に、やっぱりこうなるんだってコトだけが胸に突き刺さる。
出てこない言葉。
引き止めて、気持ちを、ちゃんと気持ちを伝えなきゃいけないって、頭ではよくわかってるのに、行動に移せない。
シズちゃんが扉の向こうに消えてから、溢れ出す涙と言葉。


「シズちゃんが好きだ」

「愛してる」

「行かないでよ」

「俺と…付き合ってよ、シズちゃん………っ」


始まりを間違えた俺達に未来なんてなかった。
あったのは、魔法がとけたあとの虚しさ。





12時を過ぎたシンデレラ
(残ったのは硝子の靴なんかじゃなくて、ただの痛み)




ドタチン、ドタチン、どうしよう。俺、とうとうシズちゃんに本気で嫌われた。どうしよう。ねぇ、ドタチンてば。助けてよ。



+++
臨也の相談相手はドタチン






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