静雄side



臨也とそんな関係になったのは、そんなに遠い過去じゃない。
まだ来神に通っていた頃の話だから、遠いと言えば遠いのかもしれねぇ。
あの頃、信者の女と適当に付き合っていた臨也は、忙しくなり始めた所為で、そいつらと手を切りはじめていた。
そんな時に、修学旅行でたまたま、(いや、あれは教師達が厄介払いに纏めたからだ)同じ部屋になった。
どこから調達したのか酒の入った臨也と、寝惚けて虚ろな俺。
酒は飲んでも飲まれるなとはよく言ったものだ。
臨也は酒の所為で頬を上気させて、俺を見ていた。
眠気もぶっ飛んで、俺の中の獣が目を覚ます。
熱くなる身体は止まんなくて、目覚めたら、真っ裸の臨也を抱き込んで半裸の俺が寝てた。
少しばかり泣きたくなったが、泣くのはズルイ気がして、臨也を叩き起こした。
それから、ずるずると俺達は関係を持っていた。
勿論、殺し合う日常なんて変わらない。
俺達が付き合うなんてコトはなく、ただ身体の関係だけが続いて、今に至る。
そして、俺の耳にある噂が流れ込んだ。


『あの折原臨也に本命らしい彼女が出来た』


しかも、金髪のスレンダー美人。
当て付けか。と、一人、毒付いた。
そして、気付く。
俺はそいつの代わりだったんだと。
だから、本命の奴の女の為にも、臨也の幸せの為にも、俺との関係は断ち切るべきだと、思った。
俺さえ居なければ、臨也は幸せになれる。
だから、俺は夢から覚めるコトを選ぶ。
夢はいつか覚めるもんだからだ。
いつの間にか、アイツの幸せを願うようになっている自分に、気持ち悪ささえ感じながら。


「…臨也」

「どうしたの?シズちゃん」


そんな優しい顔をすんな。
もぉ代わりはいらない癖に。
俺なんかに優しくするな。


「やめようぜ、俺達」


まるで、コンビニ行くか?とか、飲もうぜ。とか、そんな軽さで、別れを告げる。
始まってもいなかった関係に、終止符を打つ。


「シズちゃ…ん………?何、言って…」

「やめよう」


しっかりと言う。
泣くのは、ダメだ。
臨也に弱いトコなんか見せるわけにはいかない。
それが、俺の、男としての意地。


「そういうコトだから」


ただそれだけ言って、俺は臨也に背を向けた。
引き留めようともしない臨也に、やっぱりな。と、とうとう涙が頬を伝った。
臨也に俺を引き留める必要なんてない。
泣きながら、ただ、願う。
アイツが、臨也が幸せになることを。
夢は、覚める。
始まりさえなかった
夢に
終止符を。






を忘れて朝を待つ
(明日からはただの殺し合う相手)




悪いな、ちょっと話聞いてくれよ。聞いてくれるだけでいいんだ。俺は、どうするのが正解かなんてわかんねぇから、ただな、臨也には人並みの幸せってのが似合うハズなんだよ。あぁあんな奴でもな。俺とは違う。化け物の俺じゃ、ダメなんだ。





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静ちゃんの相談相手はセルティ






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