忘れたりなんかしないよ。
ずっと一緒だ。
そんな戯言を信じた僕は何だったんだろうか。
所詮、彼の愛する人間の中の一人で、彼の好奇心を満たす為の玩具でしかなかったんだ。
はじめから、わかっていたけれど、改めて突き付けられた現実ってヤツに少しばかり絶望。
たまたま一緒に居たセルティさんがオロオロとPDAに何かを打ち込むのが視界の端に見える。
心配しないで。
大丈夫ですから。
わかっていたんです。
なんて、頭の中には沢山の言葉が溢れるのに、何一つとしてこの口は紡いではくれなかった。
『大丈夫か?』
首を縦に振って、肯定を表した。
セルティさんがこちらを心配そうに見つめていた。
見つめていた、と言うのは語弊がある。
セルティさんには見つめる目どころか、首から上がないから。
「帝人くんって、あの人に呼ばれるのが好きだったんです」
口に出来た言葉は、果てしなく意味のない言葉だった。
「帝人くん、帝人くんってウザいくらいに呼ばれるのが、堪らなく…好きだったんです」
そう、好きだったんです。
零れたのは涙なんかじゃない。
心。
失くした心で語る愛
(想いは全て過去形にしてしまえばいい)
帝人くん、どうしたの?いきなり会いたいなんて珍しいね?
臨也さん。
なに?帝人くん。
サヨナラしましょう。
え?なんで?どうしたの?急に。
(なんで!どうしたの!それは僕の台詞)