年齢逆転パロ
来良組27歳と来神組20歳




「紀田さぁん、マジで今回こそ諦めようと思うんだよ、俺はっ!」

「はいはい」


何回目だよ。
なんて、言っても仕方ないんだろうな。


「冷たいぞー」

「キモいからマジやめて」


隣で酔い潰れんのは構わないけど、絡むのはマジ勘弁。
意外と酒弱いよなぁ、臨也は。
つか、弱ってる時に飲むからか。


「ホントに諦められんの?」


俺は絶対にムリだと思う。
女ならより取り見取りで実際彼女っていうのが何人もいる六条でさえ、囚われてるのに、臨也が簡単に諦められたら、ある意味凄ぇ。


「ムリ…」

「だろうな」


呆れちまうよ、ホントにさ。


「せめて、紀田さんに生まれたかった」

「は?」

「同じ年なら、もう少しなんとか…」


バカだ、こいつ。
同じ年だろうと、アイツの中では何も変わらない。
むしろ、年下に生まれた方がいろいろ得だ。
アイツは年下に慕われるのも好きだし、構いたくて仕方ない。
まぁ臨也と静雄が慕うから、他が怖がって近寄んねぇんだけど。
ぐだぐだといつの間にか俺への不平不満を語り出した臨也の目は虚ろだ。
その時、トントンと肩を叩かれた。


「あ…」


シィーッと人差し指を口に当てて、悪戯っ子の笑みを浮かべてるのは、アイツこと竜ヶ峰帝人。
虚ろな目でブツブツ言ってる臨也は全く気付いていない。


「どうしたの?臨也くん」

「んー精神不安定?」


さすがにホントのことは言えなくて、苦笑気味にそう返せば、帝人の眉間に皺が寄った。
スッと一つ横の席に避けろと指示される。
ここで意地張ってこの席に止どまったところで、意味もないから、指示通りに横にずれた。


「ちょっと、紀田さんってば聞いてるー」

「聞いてる、聞いてる」


聞いてなかったのに気付いたらしい臨也がガバリと起き上がって、俺と入れ替わった帝人に文句を言って固まった。
そりゃそうなるだろう。
さっきまで諦めようとかぐだぐだ言ってた想い人が目の前に現れたら。


「頑張ってるよ、臨也くんは」

「え?」


多分、臨也はもう酔ってない。
酔いも冷めちゃってると思う。


「だから、大丈夫」


ふわり。
帝人が臨也の頭を撫でた。
結局、帝人は年下に弱い。
甘やかしたくて仕方ないから。


「帝人さん」

「ん?」


弱ってると思ってるからか、帝人の口調はいつも以上に柔らかい。


「好きです」

「知ってるよ」


え…。
臨也、さらっと告白してるし!
帝人もなんかさらっと流してるし!!


「今度は素面の時に言ってね?」


心なしか帝人が乙女に見えなくもない。
こっちからじゃ、帝人の表情まで見えるわけじゃないから、どんな顔をしてるかわからないけれど、顔が赤いのは確かだと思う。
髪からはみ出てる耳と首が、赤くなってるから。


「はい」


そう言って、臨也が寝た。
帝人は暫く臨也の頭を撫でてて、俺は帰るに帰れなくて、ただ酔い冷ましに出してもらった水を飲んで時間を潰した。
ただ一つわかるのは、臨也の9回裏サヨナラ逆転ホームランは、明日の朝まで持ち越しらしいってこと。


「なんだ、まだ居たの?紀田くん」


やっとこっちを見たどこか幸せそうな帝人にそんな台詞を吐かれるのは、それから1時間と13分後の出来事。






回裏逆転サヨナラホームラン
(土壇場の逆転勝ち)




「帝人さぁ〜んっ」

「ねぇ紀田くん、あれで隠してるって言えたら凄いよね」

「そうだなー…(帝人の笑顔こえー)」









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