>68
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



※裏

(!)露骨表現注意





どうしようもなく寒くて寒くて、温もりを求め執拗に肌を重ねる。いつも以上に密着したみさきの胸の鼓動をいつも以上に肌を通して感じることが出来た。とくんとくんと規則的に鳴り響く心音すら愛しい。そして彼女が乱れ狂う度、俺は至福の笑みを浮かべるのだ。勿論、みさきにはバレないようにーー

寒いと感じる反面、まるで風邪を拗らせたかのように身体は酷く熱かった。熱くて、寒い。この矛盾した温度差が体感を狂わせる。ただ1つだけ今の自分に対して確かなことは、喉がカラカラに渇いて仕方が無いってことだ。



「みさき」



名前を呼んで彼女の気を引き、何度も何度も唇を交わす。まるで馬鹿の1つ覚えだ。しつこい、と我ながら思う。それでもみさきは応えようと必死に俺を受け入れてくれた。彼女は少しばかり人が良過ぎるのだ。だからこそ俺なんかが受け入れてもらえたのかもしれないが、それ故心配にもなる。『誰にでも優しい』というのは何もいいことばかりではない。その優しさにつけ込みそうなヤツを俺は知っているし、更には不幸なことに、これからみさきが向かおうとしているところがヤツの元だということも知っている。どうにかして食い止めたいが、こればかりはどうすることも出来ない。

ならば、彼女の身体に深く刻み込もう。誰の目から見ても俺のものだと一目で分かる”証”が欲しかった。 まずは首筋にかけて2、3つ、更には鎖骨の目立つ場所に1つーー独占欲を象徴する赤い花を咲かせてゆく。少し力み過ぎてしまったか、赤というより赤黒い痣のような痕がいくつか見受けられるが、そのくらいの方が消えにくいだろうと内心ほくそ笑みを浮かべる。指先でそっと触れてみるとみさきが僅かに顔を歪ませたので、瞬時に内出血を起こしているようだと悟った。やはり少し痛むらしい。



「痛むか?」

「ちょっとだけ。でも、このくらいなら大丈夫」

「悪ぃ。これからもっと痛いかもしれねぇ」

「……シズちゃん?」



ーーだって、暫く会えないんだぜ?



そんな頼りない台詞を噛み殺し、再びみさきの首元に顔を埋めた。痕を伝うように舌を滑らせ、時折吸い付く。いっそのこと見える場所全てに吸い付いてしまいたいとさえ思った。



「なんかさ、吸血鬼の気持ちが分かる気がする。今だったら俺、血、吸えるかも」



すん、と鼻から息を吸う。冗談のようで、結構本気。ふわふわとして優しいみさきのニオイだ。



「ヤバい。なんかムラムラしてきた」

「ひぇ……ちょっ、シズちゃん!?」



とうとう限界突破してしまった俺の理性は何処かへと吹き飛び、余裕なんてさらさらなかった。多少乱暴にみさきの服を下着ごとたくし上げ、その胸に顔を埋める。胸の突起を唐突にカリと歯で軽く食むと、みさきは矯声を上げながらやや背中を仰け反らせた。

もっと優しくしてやろうと思っていた。しかし、そう上手い具合に事が進むほど俺は冷静じゃあいられなかった。まるでお預けを食らっていた犬のように、目の前の餌に勢い良くがっつく。口に含んだ突起を舌で弾いたり舐め回したり、そうしているうちにみさきの息が次第に上がってゆくのが分かった。ぎゅっと両手で俺の髪を掴み目を閉じているその様は、何か大きな衝動に耐えているかのようだ。



「我慢すんな。俺はみさきの声が聞きたい」

「で、でも……」

「なぁ、聞かせろよ」

「……っ!」



下から覗き込んだみさきの顔は今にも泣き出しそうな顔をしていた。瞳を潤ませ、声を出すまいと下唇を噛み締めている。喘ぎ声を我慢しているというよりも涙を必死に堪えているようで、泣きたいのは寧ろおれの方だろと思わず言ってしまいそうになった。そう口にしたところで、至る結果は同じだというのに。

まるで我慢大会だ。俺とみさき、果たしてどちらが先に降参し、白旗を挙げるのか。



「いいさ。そっちがその気なら、俺にだって考えがあるからな」



わざとらしくニヤリと笑い、宣告。全て暴いて、みさきの何もかもを曝け出してしまいたくなった。感情の波が、大きく揺れる。

ぐちゅ、ぐぢゅ、ぬぷり。濡れたそこを乱暴に掻き混ぜ、容赦無く奥まで指を突き挿す。すっかり骨抜きになってしまったみさきの身体を支えながら、片手で器用にそこを押し広げる。みさきの身体があまりに敏感過ぎるから、反応がいちいち可愛らし過ぎてついつい焦らしてしまうのが俺の悪い癖だ。もうどれほどの時間を前戯に費やしただろう。すぐに挿れてしまっても良かったのだが、今はみさきとの触れ合う時間を少しでも長く過ごしたかった。みさきの身体に深く俺の証を刻み込むと同時に、自身の目にみさきの姿を焼き付ける為に。



「シズちゃんっ……も、もういいから……これ以上は……おかしくなっちゃいそう」

「俺がしたいようにしてるんだ。もうちょい付き合え」

「もうちょいって、あとどのくら……ひゃあ!?」



指が、感覚が覚えている。みさきのイイところ、気持ちいいコト。



「んうっ……!?」

「ここ触ると、イイんだよな?」

「よ、よくない……へっ変な感じ……!」

「それがイイってことだろーが」



だって、嫌な感じはしないだろう?回りくどい質問にみさきは一瞬ムッとしてみせるが、やがておずおずと首を縦に振る。それは恥ずかしがり屋な彼女が見せる精一杯の「イエス」のサイン。全て焼き付けなくては。みさきが俺だけに見せる表情1つ1つを。



ーーけどなぁ、みさき。

ーー俺はお前の笑った顔も好きだけど、それと同じくらいに嫌がる顔も好きなんだ。



「!!?」



パチリ、の音と同時に部屋の照明が灯りを灯す。暗闇に慣れた視界が一瞬眩しさに白く塗り潰される。しかし、それもほんの僅かな間の時間。幾度か瞼を瞬かせれば、目の前には霰もない姿でポカンと口を開くみさきがいた。突然俺が電気を点けてしまうものだから面食らってしまったのだろう。みさきが我に帰るまでの数十秒間、俺は思わず手を止めて笑ってしまった。



「な……っ、〜〜〜っっ!!!!!?」

「おっと、その手はどかせ」

「どどどどどかす訳ないでしょう!!?何考えてるのー!!!?」

「何って今は……エロいこと?」

「そういう意味じゃなくて!!」

「じゃあどういう意味だよ。こーいう時に男が考えてることと言えばエロいことか、それくらいだろ。まさかお前、違うヤツのこと考えて……」

「そんな余裕はない!!」



すかさず両手で胸元を隠すみさきと、それをぐいぐいと退かそうと試みる俺。出来れば手荒なことはしたくないのだが……



「はーなーせ」

「いーやー!!!」

「……ったく、そこまで言うなら……」



仕方ない。ここは攻める場所を変えてみるか。ニヤリと笑いながらみさきの両の太腿を抱え、そのまま大胆に持ち上げる。あわわとパニクるみさきを他所に、俺は次の段階(ステップ)へ。胸を隠すことばかりに気を取られていたみさきの盲点ーーそれは、他が無防備であったということだ。「胸隠して尻隠さず」とはまさにこのこと。(本来使うべき言葉の用途と若干異なっている気もするが)

既に慣らしていたそこはいい具合に解れていて、あのぬるりとした特有の愛液で十分に満たされている。ここまで濡れていれば多少乱暴にしてもあまり負担にはならないだろう。抱え上げた足を開脚させれば、重力に従い溢れんばかりの愛液がシーツに丸い染みをつくる。みさきが俺に感じてくれている事実を改めて目にし、その愛おしさから思わず際どい部位に次々とキスを落とした。内腿に顔を近づけ、手始めにペロリと一舐め。閉まろうとする彼女の両足を両手でがっちりと固定したまま、一番敏感になっているであろう秘部まで舌先を滑らせていく。みさきの制止の声もお構い無しに、焦らすように少しずつーーしかし確実に。



「や……ッ、やだやだシズちゃん。焦らすとか卑怯……!」



ここまできたらもはや羞恥を感じている余裕はないのだろう。胸を隠すことすら諦めたみさきだが、与えられる快感に抑えきれず声が漏れ、今度はその両手で口を覆う。自分の喘ぎ声を聞かれることに恥じらいを持つみさきらしい。その仕草が更に俺を煽っていることにまだ気付かないのだろうか。今までだってそうだった。彼女は無意識のうちにいつだって俺の胸を高鳴らせている。こればかりは好きなのだからどうしようもないし、抑えきれるものでもない。



「ひぅッ……あ……!!」



つつ……と目尻から零れる涙に、俺の中の何かが疼く。「もっと見たい」「もっと乱してやりたい」どす黒く汚い感情が俺の中でムクムクと膨れ上がる。「もっと俺を見て欲しい」「その瞳に映るのは俺だけでいい」独占欲以外の何物でもないその強過ぎる感情が己を支配し、それに伴い行動が徐々に乱暴なものへとなってゆく。このままでは傷付けてしまうかもしれない。何度も悔いた行動を再び起こしてしまいそうで、そのことに気付いておきながら尚、俺は気付かないフリをしている。そんなことよりも今は、いかに彼女の身体に己を深く刻み込んでおけるかが大事だ。誰の目からでも分かるように。みさきが俺を忘れてしまわぬように。

そんな焦りを反映させたかのような性急な愛撫を絶え間なく続け、みさきは既に絶頂を迎えようとしていた。今すぐにでも果ててしまいそうな絶頂感に耐え、目を瞑りいやいやと首を振る。まるで小動物のような行動にムラムラと性欲を膨らませつつ、俺は更にみさきの両足を高く頭上へと抱え上げた。その勢い余って後転してしまうんじゃないかってくらいに。



「これでみさきもよく見えるだろ?恥ずかしいトコ」

「……〜〜ッ、最低!!」

「痛ぇよ、暴れんな」

「だ……だって……どうしてこんな……は、恥ずかしいこと……!」

「この際ちゃーんと見とけよ?お前、いつも恥ずかしがって目ぇ背けてばかりいるから」


ちゃんと見ていて欲しかった。こびり付いて離れぬよう、その目にしかと焼き付けて欲しい。俺がどのようにしてみさきを愛しているか、丸ごと全部。

片手でみさきの足を抱えたまま、もう片方の手の親指と人差し指を使って秘部をくぱぁと押し広げる。もしかしたらこんなに明るい場所でまじまじと見るのは初めてかもしれない。女性の性器という普段見慣れないものを前に、純粋な好奇心。まるで何も知らない赤ん坊が何にでも興味を示すように、つい我を忘れて見入ってしまった。当然みさきは喚く訳で、大して痛くもない足蹴りを頭に食らう。



「離し、て!」



精一杯の懇願を無視し、ひくつくソコへ無理矢理指を押し入れた。とはいえ、彼女の意思とは反対に収縮する内壁はぎゅうぎゅうと俺の指を締め付けて離さない。早く欲しい。繋がりたい。その先を求めて震え出す身体ーーみさきを淫らに乱しているのが自分なのだと、そう思うと嬉しくて堪らない。罪悪感とそれ以上の興奮とが混じり合い、胸の中でどろりと蠢く。中を掻き回される感覚だけで気持ちイイ。でも指だけでは足りない、みさきの表情はそう訴えていた。

あまり慣らさないうちに指を抜くと、その喪失感からかみさきが切なげに声を漏らす。初めから素直になればいいものの、強情なみさきは滅多に自分から欲しいと口にしないのだ。ならば言わせたい、と思うのが男という生き物。こんな時でも意地の悪いことを思い付く、俺の悪い癖だ。みさきの視界に映る角度でわざとらしく舌を出し、ねっとりと際どい場所の端々を舐め上げてゆく。敢えてみさきの顔は見ない。それを想像するのもまた楽しい。



「あっ、駄目……待っ……!」



ぢゅく、と音を立てて愛液を啜り上げれば、びくんと面白いくらいに小さな身体が反応を示す。陸に打ち上げられた魚のように跳ね回る手足にのしかかり、しっかりとその動きを封じてから、更に追い討ちを掛けるように赤くなったクリトリスを舌先で突くと、それだけでみさきは達してしまった。しかし熱を持ったそこは未だ物足りなさげに収縮を繰り返す。まだ、だ。俺だってみさきと一緒に気持ち良くなりたい。己の欲望の塊が今か今かと出番を心待ちにしている。

摘まんでみたり押し潰したり、好き勝手に弄り回しながら片手で器用にベルトを緩める。ひっきりなしに喘ぐみさきがあまりにも愛しくて、手の動きは止めることなくそのまま身体を寄せキスを落とした。スラックス越しでも分かるほどに雄々しく主張した股間をみさきにも分かるよう押し付け、真っ赤になった彼女の耳元に熱っぽく囁き掛ける。



「すげーかわいい」



思わず口をつく本心。みさきは全てを曝け出すことに未だ抵抗を見せるが、俺は好きだからこそ見て欲しい。己の醜く汚い性欲で大きく膨れ上がったコレも、それら全てを引っ括めて俺の想いを受け止めて欲しい。



「……シズちゃんが、それで気持ち良くなるなら……いい、よ……?」

「ッ!」



ブツンと張り詰めていたものが解け、堪らず取り出した自身の先端を秘部へと押し当てる。触れ合った互いの性器を伝い、相手の鼓動までも感じられそうだ。一定の拍子で繰り返される2人の鼓動が溶け合って、今、1つに混ざり合うーー直接的な愛撫を受けている訳ではないのに、身体の奥が疼いて仕方がない。本当は容赦無く貫いて、一心不乱に掻き乱してやりたい。しかしそれをすぐにしないのは、未だかつてない程にみさきを翻弄してやりたかったから。焦らして焦らして、まともに機能しないくらいにみさきの思考回路を快感でぐずぐずに溶かしてしまいたい。そしてあわよくば、俺とのこと以外全て忘れ去ってくれないだろうか。例えそれがほんの一瞬でもいい。彼女にとって何事にも変えられない、かけがえのない無二の存在となりたい。俺にとってのみさきが、まさしくそうであるように。

最高の殺し文句に、そそる仕草。これで気持ちが高揚しない訳がない。みさきだけに見て、感じて欲しい。俺の全てを。

「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -