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※裏

(!)露骨描写注意





私、今絶対に変な顔してる。だって嬉し過ぎて、信じられなくて。今の胸の高鳴りを言葉で表現するとしたら、上手く言い表せないけれど、今まで忘れかけていた純粋で馬鹿正直な胸の鼓動だった。やっぱり私は自分が思っている以上にシズちゃんの事が好きなのだ。そう思えるのも、相手の言葉に一喜一憂する自分がいるから。単純な奴、て笑われるかもしれないけれど。

一旦お湯から引き上げられた私は、不安定な縁に腰掛けていた。上半身にはシャツを着ているものの、下着をつけていない素肌にぴったりと密着した濡れたシャツでは裸も同然だった。下に履いていたはずのものは今や浴室の端に投げ捨てられている。無理矢理大きく開かれた両足。剥き出しの秘部を更に強調するかのような、羞恥を煽る格好。シズちゃんは私の目の前で跪くように屈み込み、そのまま顔をゆっくりと両足の付け根へ近付けていった。



「足、閉じんなよ。ただでさえ狭いんだから」

「な……、何しようとしてんの……?」

「何って、言わなきゃ分かんねぇ?」



分かってしまったからこそ怖いのだ。これ以上の快楽を与えられてしまえば、もう後戻りは出来なくなる。



「キモチイイこと」

「!」

「みさきは大好きだもんな、コレ」

「すっ、好きなんかじゃあ……!」



それでも身体は正直で。シズちゃんの低くて色っぽい声が鼓膜を小刻みに震わせる。ただ、それだけの事なのに――身体は震え、くすぐったいようなむず痒い感覚に、ぞわりと全身に鳥肌が立った。秘部は愛液で徐々に満たされ、つつ……と伝う感覚を肌で感じる。それを目の前で見られているのが堪らなく恥ずかしい。

離して、とシズちゃんの肩をぐいぐい押してみるけれど、何て事ないびくともしない。シズちゃんはやんわりと私の手を退かすと、敏感になった隠核に舌先で触れた。その触れ加減が絶妙というか、焦れったいというか。痛みにも似た快感に思わず身を屈めるも、逃げる事だけは許されない。シズちゃんは片手で私の両手をまとめて拘束し、逃げられぬよう私の腰へともう片方の腕をぐるりと回した。



「あッ! ま、待ってシズちゃ……!」

「キモチイイか?次は、もっと良くしてやるから」

「……ッ!?」



腰に回された腕はやがてゆっくりと移動し、私の太股に手を這わす。そして力強くぐっと掴むと、そのまま高々と持ち上げた。突然の事に頭が回らず、拒絶の言葉よりも先に変な声が出てしまう。舌先で突っつくだけのもどかしい行為はエスカレートし、あろう事かシズちゃんは、舌と歯を使ってそこを甘噛みし始めた。

声を堪える為に塞ぐ己の腕は使えず、仕方なしに下唇を噛む。それでも身体の底から沸き上がってくるような強い快感には耐えきれない。時折吸われるような感覚に目を瞑っては、軽く歯で刺激され声を漏らす。気持ち良すぎて、逆に怖かった。頭の芯がビリビリして、今にも気を失ってしまいそう。自分が自分じゃなくなるみたいで、それでも自我だけは保っていようと、そればかりに必死だった。



「ふゥ、……んンッ」

「は……、すげ」



視線を上げたシズちゃんと目が合う。ちろりと出した赤い舌は銀色の糸で繋がれており、その先にあるものは今の今まで散々愛撫され続けたそれ。秘部はピクピクと痙攣し、シズちゃんに触られる事を今か今かと待ちわびている。羞恥だとか遠慮だとか、全て捨てて心ゆくままに快楽に身を委ねる事が出来たら、どんなに楽なのだろう。ぐっと押し黙り視線を逸らすと、おずおずと口を開いて訴える。



「も、無理ィ……」

「激しくしていいつったのは何処のどいつだよ。こんなんでへばってたら、後もたねーぞ?」



そう言ってからニヤリと笑うシズちゃん。その度にドキドキしている私は、もしかしたらMなのかもしれない、と自分のM気質を疑い始める。確かに友達からの扱いはいつも弄られる側だったし、そりゃあ虐められて嬉しい訳じゃないけれど……とか何とか考える暇すら与えて貰えず。余所見していた私の心は、再び強い快楽によって強引に引き戻されてしまった。

両股を更に大きく開き、その間に顔を埋め、しゃぶりつくように愛撫される。今にも頭から落ちてしまいそうな不安定な状態、快楽に仰け反る背中をシズちゃんが咄嗟に片手で支える。止めどなく流れる液体は、果たして浴室の水蒸気によるものなのか、それとも――



「あッあッ……!」

「危ねぇな……掴まってないと頭打っちまうぞ」

「だッ……て、ち、力……入んな……!」

「……しょうがねぇな」



シズちゃんは一旦そこから顔を離すと、濡れた上唇を艶かしく舐める。そして浴槽に蓋をすると、塞がった浴槽の上にゆっくりと私の身体を押し倒した。場所を移すものかと思っていた私は、状況を理解出来ず暫し沈黙の後、そこでようやく今の自分がいかに危険な状態であるかを理解する。すかさず静止の声をあげると、シズちゃんはあからさまに不機嫌そうな顔をした。



「なんだよ」

「なんだよ、じゃなくて!この状態危ないってば!ほら、ここにも『重たいものを乗せないで下さい』って注意書きが……」

「なら問題ねぇだろ。みさき、軽いし」

「重いから!ほんとに危ない……んむ!」



シズちゃんの大きな掌が口全体を覆う。人が喋ってる途中に何すんの、とも言えなかった。彼なりに加減はしてくれているのだろうけど、それでも塞ぐ力が強過ぎて呼吸すらままならない。仕方なしに鼻で呼吸。そうでもしないと、本当に窒息死してしまいそうで。引き離そうと両手で対抗してみたけれど、敵う相手じゃないって事は分かってる。



「やっと静かになったな」

「っむ……ぅ」

「こっちは余裕ねーんだよ……いい子だから、ちょっと黙っててくれな?」



余裕ない、とか口では言ってる癖して。すぐに自分が気持ち良くなろうとはしない。今度は中指を秘部へと宛がい、ちゅくちゅくと卑劣な音を響かせながら、入り口付近ばかりを指の腹で執拗に撫で続けた。シズちゃんに塞がれている故、『声』として発される事の叶わなかった単発的な音の数々を私は必死に飲み下す。

女の私が言うのも可笑しな話だが、男の人は早い話挿入してしまえば気持ち良くなれるのだと言う。余裕がないのなら、すぐに挿れてしまえばいいものを。一体いつまで続くのだろう、散々濡れたそこが切なげにヒクついているのが分かる。




「む…ッ、……!」

「ははッ、早く欲しいってか?」

「!」

「でもよー……今日はまじで念入りにほぐしとかねーと、後で辛いのはみさきだからな」

「? ――……ッ!!」



突然、ヒクついていた穴に栓がされる。違う、これはシズちゃんの指だ。一気に付け根まで入ったそれが第2関節を折り曲げた途端、身体中にビリビリと電流のようなものが走った。コリコリと押し潰されるような感覚。浴槽の蓋に負担を掛けないようにと、強張っていた背中から力が抜ける。



「やっぱココ、1年前と変わんねぇな……」

「ッ!! むうッ!?」



身体が小刻みに跳ね上がる。訳が分からなくて、頭の中が真っ白で。シズちゃんは中指を動かしつつも、同時に人差し指をゆっくりと沈めてゆく。爪の先がナカの壁に擦れるだけで腰が浮き、それだけでも十分過ぎる快感が、ナカでバラバラに動かされる2本の指によって、2倍にも3倍にも膨れ上がった。あまりの快感に涙が出る。シズちゃんはいつもみたいにペロリと舐め取ってくれたけど、それでもどんどんと溢れ出てきた。気持ち良過ぎて、逆に苦しい。私ばかりが気持ち良くなるのが、とてつもなく不公平に思えた。

盗み見た先には、張り詰めたように膨れ上がったズボン。その様子に思わずドキッする。それさえも何処か愛しくて、気持ち良くしてあげたいという思いが強くなる。どうしてこんなにも慎重なのだろう。大切にしてくれているのだと、自惚れてしまうではないか。初めの彼の切羽詰まった様子からだと、てっきり激しくされるのを想像してた。勿論女の立場からすれば、こういう扱いは有り難くもあり、より気持ち良くなれるというのも確かな訳だが。



「……ん?」



快楽に溺れそうになりながらも、必死にシズちゃんの腕を引く。ようやくそれに気付いたシズちゃんが不思議そうな顔をしながら、思い出したように私の口から左手を退かし、じっと此方を見詰め返す。改まって見詰められるのが恥ずかしくて、やや視線をズラしながら紡ぐ言葉。ほんの少し震えているような気がした。



「こ、れじゃあさ……やっぱ、不公平だよ……?」

「……」

「その……苦しくない?シズちゃん、まだ1度も気持ち良くなってないでしょ?私ならもう、大丈夫だからさ……シズちゃんにも、気持ち良くなって欲しいし」



言い終えた直後、もしかしたら自分はとんでもなく恥ずかしい台詞を口にしたのではないかと我に帰った。



「つ、つまり!その、私もシズちゃんに……触りたい、のです」



このままの体勢では触れられない、無性に人の体温を感じたくなった。シズちゃんが左手を私の顔の真横につけ、静かに顔を近付ける。急激に縮まった互いの距離。私は伸ばした両腕を彼の首回りに絡め、戸惑い気味にキスをした。すぐに離そうとした瞬間に無理矢理唇を押し付けられ、ほんの少し浮いていた頭をも浴槽の蓋に押し付けられる。不安定な場所をあれだけ嫌がっていたのに、もうそんな事は頭の中から吹き飛んでしまった。同時に右の指が再び動き出し、ぐちゃぐちゃになったナカをかき回される。舌を吸われ、何度も深く口づけを交わす。酸欠で意識が朦朧とする――…

そんな時だった。視界の端で、小さな何かがきらりと光るのは。



「(……あ)」



星だ。心の中で呟いた。

浴室の小さな小窓。そこからチラリと覗く夜空。そうだ、今、何時だったっけ?



「何見てんだよ」



余所見していた私に、シズちゃんが軽くデコピンをする。ようやく口で幾度かの呼吸を繰り返し、私はありのままに全てを話した。全てと言っても、別に大した事じゃあないんだけど。



「星。ここからでも見えるんだよね」



それを聞いてシズちゃんは一瞬変な顔をした。それが何だか可笑しくて、ついつい笑ってしまう。今の自分に笑う余裕があっただなんて……我ながらびっくり。

2本の指がブイサインをつくるようにしてナカを押し拡げる。自然と口から漏れる声、もう抑えようとするのも疲れてしまった。脱力しきった身体では指1本動かす事すら面倒で、密着したシズちゃんの身体が少しずつ離れてゆくのが嫌だった。ぬちゃりと音を立てて引き抜かれた指にまとわりつくのは、汗と愛液と、ほんの少しの血。よく見ると腿を伝う水にも赤い血が混じっている。



「だから、汚しちゃうって言ったのに……」

「俺は別に気にならねぇんだけどな」



そんな暢気な事を言いながら、己の指をペロリと舐める。それを見た私は慌てて身体を起こすけど、その時はもう既に時遅し。恥ずかし過ぎて、泣きたくなってきた。



「し、信じらんない……!汚いから!」

「なんで?みさきのだったら、何でもいい。汚くなんかねぇよ」



次の瞬間、ふわりと下半身を持ち上げられる感覚。シズちゃんは私の足を肩に掛けると、かちゃかちゃと金属音を鳴らしながらベルトを外した。言われなくても分かるこれからの行為に胸が騒ぐ。こんな時、どんな顔をすればいいんだっけ?まともに何も考えられぬまま、肉を押し分けて入ってくる熱い塊。最奥を目指して容赦なく突き刺さる。秘部は待ってましたとばかりにそれを飲み込み、長い愛撫のお陰で痛みはほぼ感じられなかった。その分余計に快感が際立つ、気が狂ってしまいそうになる程に。

ごめんな。申し訳なさそうに、彼はぽつりと呟いた。

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