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※裏

内容が濃いので観覧要注意





目に見える印なんて時間が経てばいつかは消えてなくなってしまう。だから身体に刻み込もう。もう2度と消えてしまわないように。

どれくらいの時間が経っただろう。ただひたすらにたくさんキスをして、角度を変えて幾度も幾度も。みさきの唇から熱い吐息と共に、くぐもった声が洩れる。



「ま、待ってシズちゃん」



ほんの少しの隙をついて、みさきが慌てて胸板を押し返してくる。それがあまりにも弱々しくて、微動だにしない俺は尚もみさきの身体にゆっくりと唇を這わせながら答えた。あの2ヶ月間を思えば、今この瞬間だって離れるのが惜しい。



「ん?」

「あ、あの……私、お風呂にも、入ってないし……」



その感触がくすぐったいのだろう。震える声を抑えながらも、時折耐えきれないのか身体は素直に反応を示す。耳と首元は特に感じるらしく、軽く指先で触れるだけで感じているらしい。



――可愛い。

――もっともっと、色々な声が聞きたい。



「別に関係ねーよ、そんなん。ずっと、我慢してたんだ。……この2ヶ月間」



楽しい事も、気持ちイイ事も。改めて実感した。みさきが俺にとって、どんなにかけがえのない存在なのかを。みさきのいない人生なんてつまらないだけ。みさきの好きな池袋の星空も全然綺麗なんかじゃない。溢れんばかりの気持ちを込めて、ありきたりな言葉の変わりにみさきを更に強く抱き締める。身近に感じる懐かしい匂いに安心する。話したい事なんて腐る程あった筈なのに、今はただみさきとシたくて堪らない。

片手を服の中へと忍ばせた時だった。「だ、駄目!」みさきがいきなり大声をあげて、その手を掴む。やはりこれ以上は未だに拒んでいるのか。まるで蛇の生殺し状態。「なんだよ」少し不機嫌そうに言葉を返す。



「ま、まだ心の準備が」

「じゃあ今しろよ。待っててやるから」

「……今じゃなきゃ駄目?」

「……」



別に、と、言いかけてやめた。特に約束していた訳でも、そもそも付き合ってすらいない俺達。だからと言って単に身体目的だとか、そんな不純な理由じゃなくて。それじゃあセックス以外に、どうしたらこの強い感情をみさきに態度で示す事が出来ると言うのか。



「俺はみさきに触れたいし、キスも、それ以上の事もしてぇ」

「……うん」

「前言ったこと、覚えてるか?……俺は、普通じゃない」

「……」



以前に打ち明けた事がある。俺は自分の力をコントロールできない。今までは何とか抑え込んできたけれど、これから先抑えきれるかと訊かれれば……正直、自信がないのだと。

こうなってしまったのはみさきのせい。みさきのいない2ヶ月間でみさきへの想いが募りに募り――久しぶりにみさきの顔を見た瞬間に、今まで蓋をしてきた感情が勢いよく止めどなく溢れ出た。拒まなかったのはみさき。そして必死に責任逃れをしているのは自分。



「……駄目だ、我慢できねぇ」



それからはあっという間だった。そんなに力は込めていないはずなのにみさきを押し倒すのはあまりにも容易かった。弱々しくて、まるで小動物のようで、支配しているかのような感覚。久々に感じるゾクゾクとしたこの感覚がたまらなく心地よくて、愛しくて。言葉には言い表せない快感が、身体を駆け巡り俺を震わす。みさきは来良の制服に身を包んでいた。学校の下校中だったのかもしれない。

上衣を剥ぎ取り、中に着ていたセーターを捲り上げる。ブラウスの上から3番目までのボタンを外してやると、成長途中の程よいサイズのバストがブラウスの隙間から顔を出した。そんな艶かしい光景に思わず息を呑む。馬鹿みたいに発情して、馬鹿みたいに素直に反応してる自分が情けない。



「ひ……ぁ…ッ!」

「(……すげ、やわらけぇ)」



下着を着けたままの両胸を優しく包み込むようにして触れ、微弱な刺激を与え続けているとみさきが頬をほんのりと赤らめた。前みたいに抵抗はしなかった。ただ瞳を潤ませ、気恥ずかしそうに顔を背けている。

顔が見たくて、半分強引にこちらを向かせる。下唇をキュッと噛み、声を洩らさぬように必死なみさきが可愛らしい。一瞬開いた唇の隙間からすかさず親指を入れ、そのまま舌を、口内を掻き乱す。唇を閉じる事を妨げられ、みさきの口から再び甘い声が洩れ始める。



「(なんか……凄ぇ、そそるっつーか……)」



愛しい。愛しい。愛しくて仕方がない。女の経験値なんてものはないし、いまいちセックスの仕方なんかも分からないけど、男の本能とやらが俺の身体を突き動かす。例えば――何処をどうすればみさきを気持ち良くしてやれるのかだとか。

衝動的に下着をも捲り上げ、剥き出しになったバストに直接触れる。突起を摘まんだり引っ張ったり、これがイイのだという事は以前からもう既に知っていた。



「あ……やッ、やだ、それ……!」



相変わらず敏感なみさきの身体に心踊らせながらも左手をスカートの中へと滑らせる。手探りで太股を揉むようにして進みつつ、秘部が十分に濡れている事を確認すると、思わずほくそ笑みを浮かべた。誰だって快感には逆らえないのだ。



「口では嫌嫌言っておいて身体は本当に正直だよな」

「……ッ」



情けない話、俺も性欲には逆らえない。好きな女が目の前で喘いでいるのを見て興奮しない訳がない。段々と下半身に籠る熱を感じながら、我慢出来ずに俺はスルリとみさきの下着を剥ぎ取った。それから太股を片方持ち上げて、秘部が俺からよく見える体制にする。その体制に羞恥を覚え、耐えかねたみさきが太股を閉じようと身をよじらせる。



「な……に、すんの?」

「さぁ、なんだろう」

「……は、恥ずかしいからあんま見ないでよ……」



この状況に至っても羞恥心を捨てきれない、純情で汚れを知らないみさき。そんな彼女を可愛いと思う反面俺なんかが本当に汚してしまってもいいのかと、一瞬そんな不安が頭を過った。

俺はみさきと釣り合うのか?みさきは俺をどう思っている?急激な不安に胸が押し潰れそうになる。そんな俺を見て不審に思ったのか、みさきが心配そうに俺の顔を覗き込んできた。



「シズちゃん……?」

「……俺なんかが、みさきの初めての相手でいいのかよ」

「えッ?」

「みさきは、もしこのまま俺が本当にみさきを無理矢理ヤッちまったら……俺の事を嫌いになるのか?」

「……」



みさきに嫌われる事が、恐れられる事が、他の何よりも怖かった。もしこの行為が俺の一方通行の愛から成るものだとしたらそれはあまりにも……虚しいだけ。

ふいにみさきが優しく俺に語り掛ける。それはそれは、とても穏やかな声で。



「……ずっとずっと、言えなかった」

「……?」

「私ね、ずっと前から気付いてたんだ。だけど怖くて言えなかった事があるの」



みさきの伸ばした両手が俺の頬を包み込み、目の前が急に真っ暗になる。時間が止まる。不意に何かが唇に触れ、今しがたのその柔らかい感触が、みさきの唇のものだと気付き――「!?」思わず両目を見開いた。そこには瞳を閉じたみさきの顔。夢みたいで、だけど紛れもない事実。しばらく触れるだけの口づけを交わした後、みさきが照れ臭そうに微笑んだ。



「……ッ!……それ、誘ってる風にしか思えねぇ」

「へッ?そ、そういう意味では……ひゃあ!?」



話を最後まで聞き終えるや否や、みさきの唾液で濡れた親指を、何の前触れもなしに秘部へと捩じ込む。次第に水音が響き渡り、みさきの足がピンと張る。両手でみさきの太股を大きく開き、そこへと顔を埋めると、既に濡れた秘部へと躊躇なく舌を這わせた。

秘部を押し広げるようにねっとりと舐め上げ、舌先を尖らせてクリトリスを刺激する。それだけで十分に濡れたそこは、更に愛液を次々と溢れさせていく。



「は……ァん、やッ、そんなとこ舐めな……で!」



俺の髪をクシャリと軽く掴み、その快感から逃れようと何とか試みるみさき。生憎ビクともしない訳で、全然痛くも痒くもない。寧ろ今までよりもその力は弱々しくて――みさきが気持ち良く感じてくれている事が、純粋に嬉しかった。

ぷくりと膨れたクリトリスを、舌で左右に弾くようにして刺激を与え続ける。口内に含んだかと思えば、それを一気に吸い上げたり、唇を使って甘噛みしたり。



「ふぁ……、なに、コレぇ……!なんか、変……ッ」

「あぁ、イけよ」

「イ…ッ!?や、やだ、怖……ぁ、ああぁあ!!?」



ビクンとみさきの背中が大きく仰け反り――みさきが1度イッた事を確認すると、俺は一旦ゆっくりとそこから舌を離した。

肩を大きく上下させ、荒い呼吸を繰り返すみさき。その姿がやけに色っぽくて、より興奮が今までよりも増す。「大丈夫か?」汗ばんだ前髪を掻き分けて、頭を優しく撫でてやった。



「はぁ……ッ、頭がぼんやりする……」

「これが『イく』っつー事なんだよ」

「イ……く?」

「気持ち良かったろ?」

「!」



もう引き返す気など、さらさらなかった。ここまで来てしまった以上は……考え直そうとする気すら湧かない。ただ、本能のままに。



「ご、ごめ……いつも私ばっかり。でも私、どうすればいいのか分からなくて」

「いいんだよ、別に。俺はみさきの良さげな顔見てるだけでも凄ぇ嬉しいから」



――でも、まだ終わらせない。これだけじゃあ以前までと変わりないじゃんか。

――今度は……俺も気持ち良くなる番。



そっと右手を忍ばせて、今にも爆発寸前な自身へと触れる。理性崩壊。限界突破。身体がゾクゾクして、熱くて熱くて仕方がない。まだイッた余韻の残るみさきの身体を強く抱き締める。



「すげー可愛い」

「! ……な、なに言ってんのシズちゃん!なんだかいつものシズちゃんのらしくないよ!」

「男はこういう時、こうなるもんなんだよ」

「は……初耳なんだけど」

「つか、みさきって緊張すると早口になるんな」

「ッ!!!」



どうやら的を得たらしい。みさきの顔が更に赤く染まる。俺は笑顔を浮かべたまま、腹の底ではどす黒い欲望の塊みたいなもんが渦巻いているのを感じていた。性欲。そしてとうの昔に歪んでしまった、愛情という名の支配欲。それらが全部ごちゃ混ぜになった、何とも言い換えがたい欲。

俺は多分、みさきが思っているほど優しくもいい奴でもなんでもない。結局はみさきの意思なんてどうでもいいんだ。俺がみさきを存分に愛せさえすれば。



「……次は今よりも、もっともっと気持ち良くしてやるから」



今はただ、今まで以上に思う存分満たされたいんだ。

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