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数十分前 過去ログ



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[え]

[男の人の気持ち、ですか]

「……はい」

[何?もしかしてあひるさん、彼氏いるの?]

「あッ、いえ!彼氏というか……何ていうか……」

「……実際、自分でもよく分からないんです」

「でも一緒に暮らしていたりとかはしてて、」

[え、同棲!?]

「……という事になるのでしょうか…」

[ううん……最近この手の話題で驚く事増えたなぁ]

「?」

[ああ、ごめんごめん。こっちの話]

[そっか。でも、気持ちは分かるなぁ]

[男の人っていつも何考えてるのか、一緒に暮らしてても分からないところあるもんね]

「……はい」



甘楽さんが入室されました



[げ]

[こんな時に]

《どーもー☆ただ今お家に着きましたよっと!》

《あれぇ?何なんですかーセットンさん!》

《まるで私が邪魔とでも言いたげな!》

[いやぁ……]



内緒モード[大丈夫?あひるさん]

内緒モード[甘楽さん来ちゃったけど]

内緒モード「大丈夫です」

内緒モード「甘楽さんも女性の方ですし、ここの方々は信頼できますから」

内緒モード[うーん]

内緒モード[それじゃあ、遠回しにでも]



[まぁ、簡単に言えば恋愛相談のようなものです]

《ええ!?》



内緒モード[甘楽さんってこういうネタ、かなり好きそうだよね]

内緒モード「確かに(笑)」



《過去ログ読んで来ました!》

[早!]

《あひるさん……前に確か、独り暮らしって言ってましたよね?》

《ちなみにその男性の方、おいくつなんですか?》

「歳ですか?」

「ええと……確か20……」

《ええ!それって、かなり危険だと思いますよう!》

「?」

《20なんて、もろ盛ってる時期じゃないですか!》

「……盛?」

[盛っているだなんて、動物じゃないんだからw]

《もう!どうしてそんなに安楽的なんですか!》

《ただでさえ個室に男女2人がいるってだけでもいかがわしいのに、独り暮らしにも関わらず自分の部屋に彼氏でもない異性を招き入れるなんて行為そのものがありえませんよ!》

《ましてや同棲なんて…!ちゅっちゅらぶらぶし放題じゃないですかぁ!キャッ!》

「え」

「そうなるんですか」

[日本語喋って下さいw]

[でも、甘楽さんの言ってることは当たってるかも]

[ほら、それなりの歳になると抑えきれない感情とかってあるじゃないですか]

《つまり!「私を襲ってV」って語尾にハートマーク付けて誘っているようなものです!》

《やだ!不健全ですよう!》

「え、……ええ!?」

「私、全然そんなつもりじゃなかったんですけど!」

《あひるさんにその気が全くないとしても、相手が余程でもない限り襲われないだなんて確実な保証はどこにもありませんよ?》

[それが嫌なら、ぶっちゃけ追い出すしかないんじゃないんですかねぇ]

「そう……ですか」

《そういえば、女の人は性欲を他の事で紛らわす事ができるって言いますよね》

《例えば自分の趣味だとかショッピングだとか》

《男の人は出来ないんですかねぇ……ふふ!》

[怖いです]

《ですよねぇ!それに私、リアルにか弱い女の子だから襲われたら食べられちゃいますよう><》

[いや、男の人じゃなくて、甘楽さんの笑い方が]

《ええー?ふふ!》

[そうそう、それ(笑)]

「何だかm」

[?]

[m?]

《どうしました?変換ミスですか?》

[寝落ちしたのかな]

《でも、どうやら退室はされていないようですよ?》

[文字打ってる最中に睡魔に襲われたとか]

《なんて器用なw》

[私、よくありますよ]

《えーホントですか?w》



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♂♀



「ねぇねぇ、君。……そう、君だよ君!あのさ、ちょーっと俺らと遊ばない?」



目が合った瞬間に絶対に関わっちゃいけないと直感的に感じた。軽い口調である事からしてタチの悪い客引きか、もしくはナンパだろうと眉をひそめる。

そこは臨也さんの事務所から池袋駅までの道のりにある、ごく一般の路地裏だった。少し先の大通りとは打って変わって人通りが少なく、時間帯も既に遅かった為極限あまり通りたくはなかったのだが、早く家に帰りたいという気持ちを最優先させた結果、こうして危険な近道を歩いている。内心「やっぱり怠慢なんかするんじゃなかったかな」と後悔の念を感じながらも、強面の男達の巻いているものに視線が止まる。それは、池袋の街中でも頻繁に目にする、サメの牙のようなものがモチーフの青色のバンダナだった。



「あの、急いでるんで」

「ええー?そんな冷たい事言わないでさぁ……ね?絶対退屈させないからさぁ」



まるでお茶に誘うような軽い口調とは裏腹に、手にはそれに似つかぬ物騒なものを持っている。暗い路地裏にひっそりと立つ街灯に照らされて、それは鈍くも小さな輝きを増した。

刃渡り数十センチはあるであろう小ぶりの果物ナイフ。小さいものの人を殺傷するには十分過ぎるであろう刃物。

一瞬脳裏にあの光景が蘇る。――違う、あの時とは違う。だって、目が、違う。落ち着け、落ち着け自分。



「くっはは、そんなに怖がらなくてもいいよ。ただ、大人しく俺らについて来ればいいんだから。余計な真似さえしなければ命だけは保証するからさ」

「ね、キズモノだけにはなりたくないでしょ?」



♂♀



「ありゃ、電話切れやがった」

「相手の電池切れたんじゃねーのぉ?」

「それよりさぁ、お前。あんなに色々と暴露ってたけど、大丈夫な訳?」

「女監禁してる場所まで言ったらマズいだろ」

「あー違ぇよ、門田だよ。今平和島の女捕まえたから来ないかって電話してたのよ。なのに何の話だっつーから、一から全部事情話すのダルかったけど」

「やめとけやめとけ。あいつ、変に真面目だから。誘ったって来ねーって」

「門田には今回の騒動の話してねぇもんな」

「ああ、どうりでやけに反応薄いと思ったわ」

「つーかさ、平和島の女。意外にイケてね?本当に合ってんの?」

「間違いねぇって!あの写真見たろ?」

「静雄んちに見張り立ててたの正解だったな!」

「あいつの彼女っつったら静雄並の化物を想像してたわ、俺」

「それか余程の物好きなブスとかな」

「ぎゃはは!」

「JKだぜ。じぇいけー」

「ロリコンかよ、あいつ」

「ロリコンロリコン!」

「すっぴんじゃん」

「まじ?レベル高ぇー!」

「なんであんな化物と付き合ってるんだろうな」

「男に困ってんの?」

「だったら俺が喜んで相手してやるんだけど!」

「バーカ。下心丸出しなんだよ、お前」

「まーまー。そういうお楽しみは後でって事で」

「やべーコーフンしてきたぁ俺!」

「ビデオ撮るべ、ビデオ」

「お前まじ最低だわ」

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