こわいはなし(はこがく編)

とってもあつい、あるひのよる。
さんがくは、よなかにトイレにいきたくなりました。

「まっくらだけど、トイレだけだから…だいじょうぶだよね」

と、そーっとねどこからでて、トイレにむかいました。



すると、トイレのほうから、

「ヒッ……ヒッ……」

という、こえがきこえてきます。
さんがくはびっくりして、あしをとめました。

「だ、だれですかー?」

さんがくが、こえをかけても、へんじはありません。

「ヒッ……ヒッ……」

という、こえがきこえるだけです。

さんがくは、とたんにこわくなり、あわててねどこへもどりました。
それからはもう、ねむれずに、あさをむかえました。



あさ。とてもねむたそうに目をこするさんがくに、はやとがこえをかけました。

「どうした?きょうは、やたらねむそうだな」
「はやとさん、あのねー」

さんがくは、よるのできごとを、はなしました。

「うーん……それってトイレのおばけかなぁ……でも、オレもみたことないなぁ」

はやとも、くびをかしげています。

「でも、とってもこわかったです……ちゃんとトイレにいってから、ねないと」
「そうだな」



そんなはなしをした、よる。

はやとは、よなかにのどがかわいて、おみずをのむために、ねどこをでました。
ろうかは、まっくらです。

しばらくろうかをあるくと、

「ヒッ……ヒッ……」

という、こえがきこえてきました。

「さんがくがいってた“こえ”って、これかぁ」

はやとも、こわいきもちはありましたが、おばけがみられるとおもうと、それはそれでわくわくしながら、こえのほうにむかいました。


「こえがだんだん、でかくなってきたなぁ」と、おもっていると、あしもとから“カサッ”という、おとがしました。
なにかをふんだようです。

「ん?」

と、したをみると…

そこには、かみのながい、おばけのようなもののしゃしんが、いっぱいおちていました。
はやとは、あまりのこわさに、へやへはしってもどりました。
それからあさまで、ねむることができませんでした。



あさ、はやととさんがくが、なぞのこえとしゃしんのはなしをしていると、やすともがやってきました。

「おばけェ!?いるわけねーヨ!」
「じゃあ、つかまえてきてくださいよ!」
「そうだそうだー!おめさん、おばけつかまえてこいよ!」
「やだヨ!」

そんなはなしをしながら、やすともはおもいだしました。

それは、このまえ、おおきいみんながみていた“えいが”。
そのえいがでは、おばけをそうじきで、つかまえていたのです。

やすともは、
「そうじきがあれば、おばけをつかまえられるんじゃねェの?」
と、いいました。



そのひの よる。
さんがく、はやと、やすともは、そうじきをかかえて、あの“こえ”をさがしました。
すると、やはりトイレにむかうろうかから、

「ヒッ……ヒッ……」

という、こえがします。

「このおばけェ!かんねんしろー!」

やすともが、そうじきを、こえのするほうにむけました!
すると、どうでしょう。

「いたい!いたいぞ!やめ、やめろっ!」

ききおぼえのある“こえ”です。

「…オメーなにしてんのォ……」


おばけのしょうたいは、なんと、じんぱちでした。

ちらばっていた、かみのながいひとのしゃしんは、ゆうすけのしゃしんです。


「ゆうすけに、あいたいんだぁー!!」
「それで、こんなところでよなかに、しゃしんひろげて、ないてたわけェ!?びっくりするだろーがヨ!ぼけなす!!」
「この、“ゆうすけにあいたい”という!きもちが!わからんのかー!」

そういって、わんわんとなく、じんぱち。

「ここでまたなかれると、じんぱちとわかっていてもこわいなァ…」と、おもったやすともは、つぎのひ、おおきいあらきたさん・とうどうさんに、ゆうすけとじんぱちをあわせてあげるように、おねがいしました。

ゆうすけとあそぶことができたじんぱちは、よなかにしゃしんをひろげてなくことは、なくなりました。



(おしまい)

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