やすともアラジン
語り手:さんがく
聞き手:みんな
今日はオレが主役か。アラジンらしいヨ。
むかーしむかし、どっかのとおいくにに、びんぼうなやすともアラジンがいました。
それはもう、とってもやさぐれていて、はぐきがよくみえました。
もうちょっと言い方なかったのォ…やさぐれって……歯ぐきの情報要るゥ…?
あるひ、やすともアラジンは、いちばでころんだ子をたすけました。
「オイオイ、だいじょうぶかァ」
「わわわ!す、すみません!たすけていただいて!あの!!すみません!!!」
ぺこぺこしてるのは、さかみちひめという、このくにのおひめさま でした。
ボクきょうもお姫さま……??い、いつもボクでいいのかなぁ…!?
さかみちひめは、いつもおしろのなかでアニメをみていましたが、どうしてもアニメショップで、げんていのフィギュアをじぶんでならんで手にいれたいとおもい、おしろをとびだしてきたところでした。
でも、みちにまよってころんでしまい、こまっていたところを、やすともアラジンがたすけたのです。
しかし、さかみちひめをたすけたはずのやすともアラジンは、ゆうかいしたとかんちがいされてしまい、おしろのろうやへいれられてしまいました。
ひとをみためで、はんだんしてはいけません!!
オレ踏んだり蹴ったりすぎだと思うんだァ
ろうやにいれられちゃった、やすともアラジンの目のまえに、あやしいろうじんがあらわれました。
「プクク。とじこめられとるぅ」
「またオメー、あくやくかよォ…………いいのかァ?」
「ボクにあっとるから、ええんよォ。かっこええやろ?」
ろうじんは、やすともアラジンをろうやからだしました。
きょうのお話のボク、めちゃめちゃ優しいやないか……牢屋から出してあげたんやで…
ろうじんは、やすともアラジンをたすけだしたあと、じぶんのためにまほうのランプをとってきてほしいと、たのみました。
「ボクがたすけたんやで?おれいをするのがスジってもんやろォ?」
「わかってるよォ!」
どうくつに、ぽーい!となげいれられたやすともアラジンは、ランプをさがしました。
どうくつのいちばんおくに、まほうのランプがありました。
さっさともってかえろォ…とおもったやすともアラジンがランプをとると、とつぜんどうくつがくずれはじめました。
とちゅうで、まほうのじゅうたんにのったやすともアラジンは、どうくつのいりぐちへむかいます。
「ランプ!」
「そのまえにたすけろォ!」
「ええからランプ!!」
しかたなく、やすともアラジンがランプをわたそうとしたら、ろうじんは、やすともアラジンをどうくつにとじこめようとしました。
そのせいで、やすともアラジンは、どうくつにとりのこされてしまいました。
オレがいきうめになったぞ……いきうめに……
ろうじんは、ほんとうのすがたのあきらにもどると、ランプを手にいれたとおもってよろこびましたが…よくみたら、てもとにランプがありません。
ランプは、やすともアラジンとともに、どうくつにとりのこされてしまったのです。
「ピギーーー!」
ボクのランプ………ボクの……ピィ…
どうくつにとりのこされたやすともアラジンは、こまりはててしまいました。
あるのは、まほうのそらとぶじゅうたんだけですが、すなのなかにとじこめられているので、やくにたちません。
やすともアラジンは、この1にちで、ろうやにはいり、どうくつにとりのこされて、もうふんだりけったりです。
「オレなんかしたァ!?」
むかむかしながらランプをけとばすと…
「いたい!!!」
ランプから、こえがしました。
ら、ランプしゃべった…
「ア!?ランプしゃべったァ!?」
「ものをけとばしては!ならんと!ならわなかったのか!!」
やすともアラジンはランプを手にとって、なにげなくすなをこすってはらったら、なかからなにかがとびだしてきました。
「‥‥でこ」
「でこではない!じーんぱちさんだ!!(びっ)」
ランプの魔人・オレだぞ!
♪そうアリババには40にんもの盗賊がいた〜!だがやすとも!お前はもっとラッキー!だれもかないはしない〜!!
…なぜなら!この美形をよびだしたからだ!!
なんだ。ただのでこぱちかァ…
ランプからでてきたじーんぱちさんは、ランプのようせいで、ランプをこすったやすともアラジンの、ねがいをかなえてくれるといいます。
「うそだろォ。でこにそんなちからがあるとか、しんじねェよォ」
「うそではないな!」
「こっからでるくらいのちからをみせろヨ、でこ」
「ムキー!でこではないな!」
失礼なやすともめ。ランプの魔人のオレの力を信じていないな!??
ムキーーー!!!
やすともアラジンのくちぐるまにのって、おねがいごとをむりょうでかなえてしまったじーんぱちさんでしたが、そのちからがわかったやすともアラジンは、
「おうじになったら、くろうしないですむかなァ…………」
とおもって、“じぶんをおうじにしてほしい”と、じーんぱちさんにおねがいしました。
や、やすともにだまされた。くそぉ…願いは本来3つまでなんだぞ…
砂の中から出してくれてありがとねェ〜
クッソーーー!!!(地団駄)
じーんぱちさんのおかげで、おうじさまになったやすともアラジンは、おしろへやってきました。
“そろそろ、けっこんを!”といわれていたさかみちひめは、“アニメでいそがしいから!”と、おみあいをことわりつづけていましたが、やすともアラジンをみて、“まちでたすけてくれたひとだ!”ときづき、なかよくなりました。
「ひゃああ!このあいだはたすけてもらって‥!!」
「アー。あんまりそとではしゃいだら、あぶないからネ……」
「は!はい!!」
このまましあわせにくらせたら、とりあえずふんだりけったりなせいかつはなさそうだなァ…と、やすともアラジンはおもいました。
が、そうはいきません。
それは、このくにをてにいれて、せかいにはばたくことをたくらむ、あきらがいるからでした。
さかみちひめとけっこんし、このくにをのっとろうとおもっていたのです。
「やすともアラジンクン…………じゃまやなァ」
やすともアラジンをじゃまだとおもったあきらは、やすともアラジンがねているところを、うみへ、ぽーい!となげましたが……
オレが海に投げられてるゥ…
プククク……これでおしまいやなァ…
ぐぬぬぬ…
しかし!
じーんぱちさんの2つめのおねがいごとで、ぶじにやすともアラジンはたすかりました。
あきらはこのときに、やすともアラジンが、まほうのランプをもっていることにきづきました。
「ピギィ…………あのランプはボクのや…………!」
ファッ…!???
やすともアラジン生きとる…やと…!?
ざーんねーんでしたァ〜!
ピギィ……ぐぎぎ…
あきらは、やすともアラジンから、まほうのランプをうばいとることにしました。
そのランプを手にいれて、じぶんのおねがいをかなえようときめたのです!
なんだなんだ!? うつくしいランプの妖精のオレをめぐってのケンカか!?美形すぎるのも罪だな!!
あきらは、けらいのしゅんすけをよび、ランプをぬすんでくるようにめいれいしました。
「どろぼうはダメにきまってるだろ!」
「おはなしやから。さっさとやることやってきてや。それともできへんの?プクク…………」
「うるせぇ!できる!」
どろぼうはダメだろ!言い負かされんなオレ!ダメだろ!!
何言うとんのォ? 早よ、パパッと取って来てや。
どろぼうだろ!犯罪はダメだろ!!
よわいだのなんだのとあおられたしゅんすけは、やすともアラジンからランプをぬすみ、あきらにわたしました。
「プクク!これでボクのてんかや!」
ランプをこすると、じーんぱちさんがでてきました。
お、オレのランプ盗られたァ……おりこうチャンのくせにィ……
やった!ランプや!ついにやったで…!!しゅんすけクンもたまには役に立つやないの、ぷくく…
「よなかによびだすのは、やめろー!はだのちょうしが、あれるではないか!びけいは、はだのかんりをおこたっては…………ん?」
「はだのちょうしとかキモ」
「なななななんだ!やすともアラジンではないではないか!」
「これからボクがごしゅじんさまやよ。ねがいをかなえてもらうでぇ…………!」
肌の調子は大切だろう!美形たるもの!
じーんぱちさんへのおねがいごとを2つつかって、“せかいいちのまほうつかい”で“くにのしはいしゃ”になったあきらは、とうとうくにを手にいれました。
「あわわわわあああきらくん!わ、わるいことはだめだよ!」
「プクク…………サカミチィは、だまっておひめさまをやっとればええんよ」
ボクの天下や……さかみちが何と言おうとボクが国王や!
さかみちひめは、わたわたしながらも、アニメのはなしをだまってきいてくれていたやすともアラジンのことが、しんぱいでなりません。
そこへ、やすともアラジンがあらわれました。
「あきらァ!いますぐもとにもどせェ!」
「プクク。もどせいわれて、もどすやつがどこにおるん?」
「…………そりゃいねーわなァ」
やすともアラジンは、なっとくしかけましたが、それでははなしがすすまないことをおもいだしました。
「とりあえずあきら、オメーこれでどうすんのォ」
「ボクはここから、せかいにはばたくんやで。せかいせいふくや」
「あっそォ……ならでこ…じゃねーや。じーんぱちさんよりつよくならねぇとなァ」
アラジンのオレ、流れ的にだんだんとかっこよくなってきたじゃナァイ!?
「ファ?」
「だからァ。でこ…………じゃねーや。じーんぱちさんよりつえェ“まじん”にならねェと、せかいせいふくはできねぇよなァ?たんなる“まほうつかい”じゃなァ!!」
どっちかというと、すごんでいるやすともアラジンのほうがてきにみえますが、しゅじんこうです。
あきらは、かんがえこんでしまいました。
た、確かに現時点で最強は、ランプのじーんぱちクンや…
「ボクまだ3つめのおねがい、あまっとったな?」
「あ、ああ。あまってるぞ!」
「ボクを“まじん”にしてや!いちばん、つよいやつや!」
あきらは、じーんぱちさんに“じぶんをまじんにしろ”とおねがいし、あきらは“まじん”になりました。
「これでボクも、さいきょうやでぇ…………!」
「ざんねんだったなァ!“まじん”になるってことはなァ!ランプもあるってことなんだヨ!」
「な、なんやて…!」
あきらのあしもとには、ランプがころがっています!
やすともアラジンがそれをかざすと、あきらはランプにすいこまれてしまいました!!
ファ……し、しまった……!
ランプに戻れヨ!
ピギイィィィィィ………
や、やるな…やすとも……かしこいではないか…
あきらがランプにふういんされると、くにはすっかりもとどおりになりました。
「はっはっは!やるではないか、やすともアラジン!まだ1つだけ、やすともアラジンのねがいはのこっている!さかみちひめとけっこんできるように、またおうじにしてやってもいいぞ!!」
「アー…それねェ」
「ひゃあああ、け、けっこんはまだちょっと!!ぼ、ボクまだアニメみおわってなくてっ!!あっ。やすともアラジンさんに、おうじをやってもらえるなら、それでかまわないんで!ひゃああ」
「…………だってヨ。でこはおねがい、なんかねぇの?」
じーんぱちさんは、はじめてじぶんのおねがいをきかれました。
ひええ、お、お断りしてしまう形になってすみませんすみません!!でもアニメが!!すみません!!
「そうだな…………オレは、じゆうになりたいな…………いろんな美をきわめ…………まきちゃんに、あいにいくのだ!!」
「きゃっか」
「おい!!!やすともアラジン!!ここはじーんぱちさんに、じゆうを!といっておわるところだろう!こら!おい!!はなしをきけ!!ムシするな!!」
……ウン、却下。
オレに自由を与えんかーーー!!!話の流れから空気を読まんか!(ぽかぽかぽか)
いでででで分かった!分かったからァ!
“ねがいごと、とっといたほうがいいなァ…”とおもったやすともアラジンは、じーんぱちさんに「ねがいがきまるまで、どっかいってていーよォ」といい、じーんぱちさんは「まきちゃーーーん!」といってとびだしていきました。
ランプのオレは自由…に…なったのか…??
それからというもの、やすともアラジンは、さかみちひめにじてんしゃをおしえ、よくふたりでじてんしゃにのるようになりました。
おかげで、やすともアラジンはエースアシスト、さかみちひめはクライマーとして、しょうきんをかせぐようになり、やすともアラジンはまいにち、しあわせにくらしました!
レースの賞金で安定した生活を送るアラジンのオレとさかみち姫……
ゆ、夢があるんだかないんだかわかんねーなァ…
はわわわ賞金!?あ、あの、ラブヒメのフィギュアを買っても…!?
う…ウン…、好きなの買いなよォ…
これはこれでドリームっショ。
はいっ!フィギュア、フィギュア…♪
…ま、さかみちが嬉しいならもうそれでいいヨ…
おーしまい!!
というわけでオレ版のアラジンは、これでめでたしめでたし…らしいヨ。
さんがくの話を聞いてくれたみんな、ありがとネ。