第十一回 一周年だそうです

 これはRZ高校のA氏が企画立案、プロデュースし、9696動画に投稿された作品である。
 作品を再生すれば、真っ白の画面に運命と達筆な手書き文字が書かれた青い男性用マークとネタ帳の絵、パイナップルの絵、目だけ黒くした某ラノベキャラ、そして鉄火丼の絵が映し出された。
 しばらくするとアップテンポの明るい曲が流れ始め、音源を示すかのように各イラストの上には文字が記されていく。

 そして、青い男性用マークの上に「なんと!」と言う文字が書かれ、それは始まった。



【ラジオ・残メンカルテット(第十一回)】


運命厨(以下森)「一周年だ!」

パイン(以下宮)「あとラノベの誕生日」

ラノベ(以下黛)「嬉しくない」

ネタ帳(以下月)「そう言わずに」

大家族(以下水)「………」

月「大家族もおめでとうって言ってると思います。な?」

水「…!」

黛「お、おう?」

宮「ラノベの誕生日云々は後ほどじっくりいじるとして、前回のゲストの空手家からメールが届いてっから読むぞ。えー…『前回はとても楽しかったです、ありがとうございました!個人的にパインさんと躾の話をじっくりしたかったっすね。』…そうだな、その時は運命厨で実技訓練を」

森「しないからな!」

黛「そして、今回もゲストが来てるぞ」

月「今回は趣向を凝らして、所属校とある番号のクジで決めたんですよね」

宮「それで見事、ゲストに選ばれたのがネタ帳の仲間である大家族だ」

水「……」

月「無口な大家族と意思疎通を図るのはちょっと難しいかなと思いまして、通訳として猫小僧にも来て貰いましたよ!」

宮「ああ、うん」

黛「肝心の通訳はブースの外だけどな」

森「周りに気を取られてるけどな」

月「好奇心旺盛なんですよ猫小僧。な、大家族」

水「…」

宮「ほ、ほう。そっか」

森「ナルホドナー」

黛「…とりあえず、タイトルコール」


全『ラジオ・残メンカルテット!!』

黛「この放送はAグループ、その他のスポンサーの提供で送りします」


宮「ラノベの誕生日ってことでメールきてんだけど」

森「えっ」

月「ほんとだ」

水「……!!」

黛「つうゃ…いねーし」

宮「ネタ帳は分かんねーのか?」

月「オレですか?まあ、少しぐらいならなんとか分かりますけど猫小僧ほどの正確さはないですね」

森「じゃあ、どうすれば…」

月「気合いで。ハッ、気合いを入れて居抜き合い、キタコレ!」

水「……」

宮「あ、これは分かるぞ。ネタ帳のダジャレがくそつまんねーって言ってんだな」

水「?!」

森「違うのか?」

水「……」

月「まさか、オレのダジャレが面白過ぎるあまり逆に真顔に…?」

黛「なってねえよ」

宮「大家族の攻略は追々やるとして、届いたメールをさっさと読まないと轢く」

森「理不尽!」

月「じゃ、じゃあ、まず一通目から」

黛「一通目だと?」
森「一通目だと?!」

月「ZN(残メンネーム)・RZ高校後輩一同さんから頂きました。『ラノべさん誕生日おめでとうございます。卒業後も顔を出して下さい。毎日でも構いません、待っています』」

黛「オレが大人しく地元に残るとでも?」

宮「次、ZN・真紅の天帝さんから。『ラノべさんはどのようなケーキがお好きなのか分からなくて、取り敢えずウチのパティシエに誕生日に相応しいケーキを作らせました。お口に合うか分かりませんが、存分に顔面ケーキをお楽しみ下さい。』」

黛「おい待てなに顔面ケーキフラグ立ててんだよマジふざけんな」

森「ぷすす、ザマァ!」

宮「いいから読めや」

森「いたた!…くそぉ、ZN・一生涯オネェさんからだ。『天帝ちゃんからケーキの相談を受けたのでラノべさんが好きなキャラクターでデコレーションケーキを作ってみました。美味しく食べて下さいね』」

黛「顔面ケーキやるならこっちだろ」

月「せっかくの手作りなのに?」

黛「だからだよ!」

宮「ZN・牛丼大好き肉団子さんから。『ケーキより牛丼の方がうまいだろう。腹一杯食ってください』っつう訳でお前に某牛丼チェーン店の割引券1枚」

森「やったな、ラノベ」

黛「せめてタダ券にしろよ」

水「……」

月「ああ、そっか。大家族が読んでも、ラジオだから伝わらないのか…。うん、オレが変わりに読むよ。えっと、ZN・轟音雷獣さんから頂きました。『皆色々送り過ぎ!もっと高校生らしい物で祝おうよ!!てことで駄菓子詰め合わせ送ります!』」

黛「…高校生らしさとは一体なんなのかを問い質せばいいのか、それとも貰ったもの全てが食料品だったことにツッコめばいいのか」

森「割引券は紙だぞ」

月「この紙、神様のですよ」

宮「は?」

月「 」

水「…!…!!」

森「ちょっと男子ー!ネタ子ちゃんに辛辣な態度とるから大家族ちゃんがめちゃくちゃ戸惑ってるじゃなーい!!」

水「?!」

黛「運命厨の突然のネタ振りにも戸惑ってるけどな、多分」

宮「つまり運命厨も喋るなってことか」

森「なんでだ…!」

宮「ウザいから」

森「 」

黛「パインの理不尽な発言でいい感じにまとまったことだし、CM行くか」



+++



「SR高校」
「君も、愉快な家族の仲間入りをしませんか?」


「全てに勝つAグループは全て正しい」
「Aグループです」



+++



水「!」

月「『“CMが変わってる”って大家族が言ってる』と通訳の猫小僧が」

黛「やっと戻って来たのか」

宮「初めて来るヤツにとっては珍しいものばかりなのかもな」

森「そんなことよりもオレは言いたいことがある!なぜ、ラノベだけ誕生日メッセージが届いているんだ…!」

宮「日頃の行いの差じゃね?」

黛「つか、ゲストを優先すべきだろ。だから、お前の話題は話す価値もないってことだな」

森「泣くぞ…!」

宮「轢くぞ」

森「あだだだだだだ!!!!」

水「……?!」

月「大丈夫、いつものことだから大丈夫」

森「なんでいつもオレばっかり…!」

黛「そう拗ねるな。ちゃんとお前への誕生日メッセージも届いている」

森「なにっ?!!」

宮「ZN・地味な天丼さんから。『すまんメールを送り忘れていた、遅くなったが誕生日おめでとう運命厨。』」

森「ありがとう地味な天丼さん。お前は本当にいいヤツだな、パインと違って!」

宮「あ?」

森「なんでもない!」

月「余計なこと言うから凄まれるんですよ運命厨さん」

森「ところでメッセージはこれだけか?」

水「………」

月「大家族も見てないか。なら多分、これだけ…みたいです」

宮「なるほど、これが運命厨とラノベの人徳の差か。オレにしてみりゃどっちもどっちなんだけどな」

黛「お前もさほど変わらないからな」

森「よし、じゃあ、こうしよう。誰が一番人徳があるのか、大家族とネタ帳と猫小僧に決めて貰おうじゃないか」

月「えっ」
水「…!」

宮「お、運命厨にしちゃあいいこと言うじゃねーか」

月「えっ」
水「??」

黛「それじゃあ、せーので一番人徳がありそうなヤツを指差せ。いくぞ」

月「えっ」
水「……」

黛「せーのっ」
宮「せーのっ」
森「せーのっ」

月「…」

水「…」

宮「……」

森「……」

黛「……」

宮「なんで指差さねーんだよ」

月「オレ達にとっては三人共にいい先輩だからです。誰が一番とかありませんよ」

水「……!!」

森「『“だから誰かを選ぶなんて無理です”って大家族も言ってます!オレもそう思いますよ!』…か」

宮「誰だよ、オレの目に目薬入れたヤツ」

黛「バカ、それは目薬じゃねえよ。お前が分泌したしょっぱいお水だ」

森「なんだこれ、しょっぱいお水で前が見えない…」

宮「今すぐ後輩チェンジでっ!」
森「今すぐ後輩チェンジでっ!」
黛「今すぐ後輩チェンジでっ!」

月「そんな皆さんにZN・おは朝は神の信託さんの今日のラッキーアイテム情報!」

宮「なんでだよ…!」

森「脈絡無さ過ぎてびっくりだ」

水「…………」

黛「『“後輩チェンジは無理なので、パインさんの後輩の話を無理矢理ねじ込んでみました”って大家族が言ってます!』…おいこら待てなんでそうなる」

月「毎回恒例なので読まずにはいられないんです。勘弁して下さいという訳で、えーと…おは朝は神の神託さんの今日のラッキーアイテムは卵パック。更に運気を上げるラッキーパーソンは………サラツヤキューティクルな黒髪の人」

森「サラツヤ」

宮「キューティクルな」

黛「黒髪の人」

水「………」

月「こっち見ないで下さい!!」

森「お、噂をすればなんとやら」

黛「アイツって結構ここに来てるよな」

宮「よし、ちょっくら轢いてくるか」

水「!!」

月「ダメです!せめて終わってから…」

森「そういう問題じゃないから!」

黛「全く、野蛮なヤツだな」

月「ハッ!かなりヤバい野蛮なヤツ、キタコレ!」

宮「キてねーよ!!!」

月「あだだだだだだだだ!!!!」

森「止めて!大家族と猫小僧が顔面蒼白になってるから止めたげてっ…!」

水「……?!」

月「あたた……だいじょうぶ、大家族も猫小僧もしんぱいしてくれてありがとう」

黛「パイン自重しろよ」

宮「お前は顔面ケーキしろよ」

黛「な・ん・で・だ・よ」

宮「せっかくお前の為に用意したんだぜ。やって貰わないと報われねーだろ」

森「そうだそうだ!お前だけ回避するのはズルいぞ!!」

水「…!」

月「ラノベさん、やりましょう」

黛「え、なにこれ。目の前に用意されたんだけど今回、自分から行くのか?」

森「ちなみにケーキだけど、ラノベのリクエストで一生涯オネェさんの手作りケーキになりましたー」

宮「やったな!」
黛「おいまてまだ心のじゅへぼふっ」

森「ぶふっ!」

月「ふふ…」

水「!……っ!」

宮「うまかったか?」

黛「………味、分かんねーよ」

月「あ、終わりの時間ですね。それじゃあ、最後にこれ!読んでくれないか?」

水?「感想の他にも“残メンQ&Aのコーナー”への質問や悩み、先輩方やネタ帳への無茶ぶりや“一言物申し隊”へのメッセージも随時募集しています!全ての宛先はコメント欄まで送って下さいって大家族が言ってるよ!!」

宮「今の…いや、お前らからのご応募、」

全『待ってまーす』

黛「という訳で、今回のお相手は」

水「………」

月「無口命・大家族と」

宮「みゆみゆ命・パインと」

森「女の子命・運命厨と」

黛「二次元命・ラノベと」

月「ダジャレ命・ネタ帳でした」


全『次回も残念なラジオがやって来る?』


森「この放送はAグループ、その他のスポンサーの提供で送りしました」


\…誰か濡れタオルくれ/
\タオルを持った青年が花を手折る!キタコレ!/
\だからキてねーよ/




 こうして五つのイラストが描かれた真っ白な画面は黒い画面に切り替わり、停止した。
 どうやら放送は終わったようだ。
 そして、このハチャメチャラジオは次回もあるらしい。

続く...






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