第八回 蛇足

 これはRZ高校のA氏が企画立案、プロデュースし、9696動画に投稿された作品である。
 作品を再生すれば、真っ白の画面にいつもとは違う王将と書かれた将棋の駒の絵とバスケットボールの絵、ゴールデンレトリバーの絵、眼鏡の絵が映し出された。
 しばらくするとアップテンポの明るい曲が流れ始め、音源を示すかのように各イラストの上には文字が記されていく。

 そして、ゴールデンレトリバーの上に「えっと…」と言う文字が書かれ、それは始まった。



【ラジオ・残メンカルテット(第八回)】


わんお(以下黄)「こっ、こんにちはー!」

バニラ(以下黒)「こんにちは」

おは朝(以下緑)「…こんにちは」

湯豆腐(以下赤)「こんにちは」

黒「…」

緑「……」

赤「………」

黄「…………」

黒「……………」

緑「………………」

赤「…………………」

黄「ちょ、ちょっといつまで無言でいるきっスか?!!喋らなきゃラジオとして成立しないっスよ…!!」

黒「と、言われましても話題がありません。困りました」

緑「バニラ、お前は一度ゲストとして来ているんじゃないのか?」

黒「その時は先輩方がいましたから話題に事欠かなかったです。おは朝君だって一度ブースまで来たんじゃないんですか?」

緑「オレは外から見ていただけなのだよ」

黄「あの人達、結構すごいことやってたんスね……。って、ああ…!その先輩達はどこ行ったんスか?!!」

赤「逃げた」

黄「えっ」

黒「えっ」

緑「逃げただと?」

赤「ああ。正確にはボイコットしたと言った方が正しいが、同じようなものだろう」

黒「どうしてボイコットなんてしたんでしょうか…」

赤「前回の公開録音を覚えているかい?」

緑「覚えている。しかし、ボイコットするようなことなどなかったように思えるが、何かあったか?」

黄「あ、まさか……サランラップキス?」

黒「ネタ帳先輩を汚したあの忌々しき出来事ですね」

赤「そう、そのサランラップキスで精神的ダメージをおったらしく、一度休みたいと連絡が入った。ネタ帳さんから」

黒「ネタ帳先輩マジ天使っ!!!!」

緑「?!?!!」
黄「?!?!!」

黒「失礼、続けて下さい」

赤「あ、ああ。他の三人にも一応連絡を入れてみたんだが、同じような返事が返ってきてね。それで急遽、彼らの後輩に当たるお前達を代理を頼んだという訳だ」

黒「なるほど、やっと納得出来ました」

黄「まあ確かに、かなりへこんでた感じではあったっスね」

緑「サランラップキ…スとは、そこまでメンタルに響くものなのか?」

黒「おは朝君、眼鏡をカチャカチャし過ぎです」

緑「う、うるさいのだよ!!!」

赤「なんだおは朝、気になるのか?サランラップは常備してあるからやってみるといい。わんお、相手してやれ」

黄「なんでオレ?!!」

緑「こちらから願い下げなのだよ!」

黄「ひどっ!!!!」

赤「全く、サービス精神のない奴らだ。公開録音でやった先輩方を見習うんだな」

黄「いやいやいやいや、そういう問題じゃないでしょ!バニラっちもなんか言ってやって欲しいっス!!」

黒「すいません。聞いてませんでした」

黄「バニラっちいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ…!!!」

黒「うるさいです」

赤「ところでバニラ」

黒「はい?」

赤「この後どうすればいい?」

黒「タイトルコールですかね」


全『ラジオ・残メンカルテット!!』


赤「この放送はAグループ、その他のスポンサーの提供で送りします」


黒「ついでにCMもいっちゃて下さい」



+++


「Aグループは世界一ィィィィイイイ」
「Aグループです」


「ふわふわの雪は」
「くらげみたいなオレに」
「ダメージを多少なり与えた」
「FS高校」


+++



赤「これが噂に聞くCM……」

緑「フン、くだらん」

黄「こういう時、どんな顔すればいいか分かんねーっス」

黒「変顔すればいいと思います」

黄「なんか思ってたのと違う…!」

赤「通常放送ならば、何かしらのコーナーをやるようだが今回は蛇足のようなものだ。わんお、変顔することを許そう」

黄「いやっス!!!!っていうか、この番組恒例のおは朝っちのラッキーアイテム紹介がまだじゃないっスか!!!!!」

黒「そういえば、そうですね」

赤「今日も持ち歩いているのか?」

緑「オレの生死に関わるからな。当然持ち歩いているのだよ」

黒「今日はどんな珍品なんです?」

緑「これだ」

黄「これ、は………な、んス…か?」

赤「………どろっとした白い液体、だな」

黒「そうですね」

緑「ふっ、持ち歩き易いように取っ手のついた瓶に入れている。人事は尽くしているのだよ」

黄「いや、そういう問題じゃないっス」

黒「あ、この瓶…」

赤「知っているのか?」

黒「はい。おばあちゃんが梅干しを付けていた瓶にそっくりなんです」

緑「ああ、察しがいいなバニラ。これは梅干しや梅酒など果実酒を造るのに最適な瓶なのだよ。約五リットル入る」

黄「五リットル?!!」

黒「どろっとした液体が五リットル…」

赤「中身はなんだ?豆乳か?」

黒「バニラシェイクですか?」

黄「欲望に忠実過ぎだよあんたら…!」

緑「豆乳でもバニラシェイクでもないのだよ!お前らおは朝は見ないのか…?!」

黒「見ませんね」

赤「見ないな」

黒「ねー」
赤「なー」

黄「くそぉ可愛いっスううううう!!!」

緑「わんお邪魔なのだよ!」

赤「で、中身はなんなんだ?」

緑「……貝灰なのだよ」

黒「かいばい?」

黄「かいばいってなんスか?」

赤「貝灰というのは、高温で長時間焼いた貝殻に水を掛けて作る灰の一種だ。壁材として使えば、消臭効果も期待出来るぞ」

黒「へえ、すごいんですね」

黄「えっと、じゃあ、食べ物じゃない?」

赤「食べたいのか?」

黄「明らかに人が食べるものじゃないっスよね?!!」

緑「分かっているのなら、いちいち聞いてくる必要はないのだよ」

黄「一応、確認してみただけじゃないっスかぁ」

黒「しかし、これだけの貝灰をどうやって手に入れたんですか?」

緑「もちろん自分で作ったのだよ」

黄「さすがおは朝っち、やることが違う」

緑「フン、それほどでもないのだよ」

赤「誉めてない」

緑「なん、だと…?」

黄「あ、なんかブースから指示があるみたいっス。えっと……『ザリガニおっぱいさんと紫のまいう棒の人さんからメールを頂いています』……メール?」

黒「……ああ、多分、これですね」

赤「見事なミスディレクションだ」

緑「無機物はそんな技を使わないのだよ」

黄「はは、じゃあ読むね。PM(ペンネーム)…」

黒「このラジオではZM(残メンネーム)ですよ」

黄「あ、そっかそっか。ZM・ザリガニおっぱいさん、紫のまいうの人さんから頂きました!ありがとうございます!えーっと…『なんでオレ達も呼ばねーんだ!!』『豆腐ちん達ばっかりずりーし』…」

黒「湯豆腐くん?」

緑「湯豆腐…」

赤「オレも呼びたかったさ。でも、あいつらが来ると人口密度が上がってむさ苦しくなるし、それにここ、最大五人が限界なんだ。だから、直属の後輩ではないあいつらには我慢して貰うことにした」

黄「確かにオレは運命厨さんの後輩で」

緑「オレはパインさんの後輩、」

黒「ボクはネタ帳先輩の後輩ですね」

赤「そして、オレはラノベさんの後輩にあたる。ゲストという手も考えたが、蛇足回にそれは必要ないと判断した」

黒「まあ、呼んだところでちゃんと喋ってくれるか分かりませんしね」

黄「あの二人なら話振っても、めんどくさいって言ってそうっス」

緑「人事を尽くさんやつが来ても、足手まといになるだけなのだよ」

赤「…とか言って、本当は来て欲しかったんだろう。悪いことをしてしまったな」

緑「べっ、別にそんなことは一切言ってないのだよ!」

黒「止めて下さいおは朝君。ボク達までツンデレに見られるじゃないですか」

黄「バニラっちのツンデレ……」

黒「わんお君ハウス!!」

黄「オレのハウスはバニラっちの腕の中っス…!いいんスか?飛び込んでいいんスか????」

赤「わんお」

黄「ひっ」

赤「頭が高いぞ」

黄「ごめんなさい!!!!!!」

緑「馬鹿め、謝るぐらいなら言わなければいいのだよ」

黒「ほら、わんお君ですし…」

緑「そうだったな」

黄「さっきからオレ、フルボッコじゃないっスか!!!ひどいっス!!!!」

赤「何を今更」

黄「 」

黒「相変わらず、容赦ないですね」

赤「お前ほどではないよ」

緑「むっ、それそろ終わりの時間か」

黒「今日は沢山喋ったので、もうこれ以上は喋りたくないです。ゲストの時はこんなに疲れなかったのに、なぜでしょうか…」

赤「それだけ、メインパーソナリティーが大変ということだ」

黄「オレはまだまだ喋れるっスよ」

黒「常に喋りっぱなしの君と一緒にしないで下さい」

黄「バニラっちしんらつ…!」

緑「次回、皆さんの分のラッキーアイテムを用意しようと思うのだよ」

赤「デレたのか?」

黒「デレましたね」

赤「おは朝…」
黒「おは朝君…」

緑「言いたい事があるならはっきりと言えばいいのだよ!!!!」

黄「あとこのラジオ恒例といえば、誕生日ケーキでやる顔面ケーキっスね!」

黒「ああ、ネタ帳先輩の麗しい顔面を生クリームまみれにしたあれですね」

緑「鬱陶しいぞバニラ、その黒いオーラをさっさと仕舞うのだよ!」

黒「何のことやらさっぱりです」

赤「………そうか、12月はオレの誕生日だったな」

黄「もしかして、忘れてたんスか?」

赤「年末はいろいろと立て込むだろ」

黒「そういう問題ではないと思います」

緑「ケーキが来たのだよ」

黄「なんか顔面ケーキするのはもったいないっスね。普通においしそう」

赤「そんなに食べたいのか?」

黄「え、うぶっ!!!!」

黒「すごいです。わんお君の顔がケーキに埋まってます」

緑「口答えする暇さえ与えないとはな」

赤「さっさと済ませた方がわんおの為にもなると思ったんだよ」


【わんお復活までしばくお待ち下さい】


黄「しっ、死ぬかと思った…!」

黒「湯豆腐君がわんお君の頭を押さえてましたからね」

赤「さて、最後にお知らせだ。感想の他にも“残メンQ&Aのコーナー”への質問や悩み、先輩方への無茶ぶりや“一言物申し隊”へのメッセージも随時募集しているよ。全ての宛先はコメント欄まで」

黒「皆さんからのご応募、」

全『待ってまーす』

黄「という訳で、今回のお相手は」

赤「湯豆腐命・湯豆腐と」

黒「バニラシェイク命・バニラと」

緑「おは朝命・おは朝と」

黄「バニラっち命・わんおでした!」


全『次回も残念なラジオがやって来る?』


緑「この放送はAグループ、その他のスポンサーの提供で送りしました」


\顔面ケーキ、なんでオレなんスか!/
\お前以外有り得ないのだよ/





 こうして四つのイラストが描かれた真っ白な画面は黒い画面に切り替わり、停止した。
 どうやら放送は終わったようだ。
 そして、このハチャメチャラジオは次回もあるらしい。

続く...






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