20000キタコレ!記念没その1。

 日曜日、半日の部活動を終えて一旦帰宅した伊月俊はちょっぱやで身支度を整えるととある場所へ向かった。途中、森山由孝、黛千尋と合流し、程なくして行き着いた場所は簡素な住宅街に建っている二階建ての家。そびえ立つ家を目の前に頷きあった三人はすぅと息を吸うと部活中の声出しと寸分狂わぬ大きさで声を吐き出し、それと同時に黛はピンポンを高速連打し始めた。

「「「みーやーじーくーん(さーん)あっそびましょー!!!」」」
「うっせーな!!轢くぞオラッ!!」

 玄関扉を勢いよく開けて、勢いを殺さないまま手厚いタックルで出迎えたのは家主(厳密に言うと家主の息子)である宮地清志。森山と避けきれなかった黛を沈めた宮地は一仕事終えたと言わんばかりの爽やかな笑顔で顔を青くする伊月と向き直る。

「よう、伊月。時間ぴったりだな」
「アッハイ」
「そんなとこ突っ立てないで上がれよ」
「アッハイ」

 宮地の妙に高圧的な笑顔に気圧され、伊月の視線は右斜め45度に動いていく。その時だ、陰りを見せた伊月の瞳に再び光が宿ったのは。そして先程の陰鬱とした表情から一気に活き活きとした表情に変わり、彼はこう言った。

「清志と挙式!キタコレ!」

 伊月がマジ爽やかスマイル1000パーセントの宮地にアイアンクローを食らったのは言うまでもない。



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 玄関前の一方的な攻撃から復活した三人は現在、通された宮地の自室で丸テーブルを囲みゲン●ウポーズで家捜しをするかしないかの会議中である。「宮地が飲み物とお菓子を取りに階下にあるキッチンに行っている今がチャンス」、とは森山の言葉だ。それに意を唱えたのは伊月。端的に言えば、「今度こそ三途の川を拝みますよ」というとても親切な警告を言い放った。
 しかしこの森山、意気揚々と立ち上がると手始めにとベッドの下を探り始める。






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