赤月のエロを書こうとしてヤンデレ要素を追加したら見事に消化不良で失敗した。
赤司征十郎は伊月俊に恋をした。
黒子テツヤの新しいチームメイト、最初はたったそれだけの印象だった。
自身初の負け試合となった高校一年の時のWC決勝戦、そこで鋭い爪を持つ猛禽類と出会う。チームメイトが翻弄される姿に苛立ちを募らせた。
伊月俊という名前が赤司征十郎の中に深く刻み込まれた瞬間だった。
黒子とキセキの世代が和解し、徐々にあの日のオレ達を取り戻し始めた頃。黒子に頼み込んで、伊月さんと話す機会を設けて貰った。同じポジション、それだけの接点だというのに一人の後輩として真摯に向き合ってくれた。嬉しかった。
伊月俊という存在を赤司征十郎の中に深く刻み込んだ瞬間だった。
そして、連絡先を交換したその日からことあるごとにメールや電話をした。知れば知るほど伊月さんは魅力的な人物で、彼と話せば時間はあっという間に過ぎていく。
バスケの話は勿論、学校での出来事、趣味、特技、好きなもの、嫌いなもの、いろいろな話を沢山、沢山したんだ。
でも、足りない。足りないのだ。
―――伊月俊ガ、足リナイ。
考えた。この満たされることない飢えを改善するにはどうすればいいのか、必死になって考えた。考えた末に出た答えはレイアップシュートのようにシンプルで単純明快なものだった。
メールや電話など回線越しで満たされないのであれば、時間が許す限り直接会えばいい。会えない時はそうだ、写真や動画を見てやり過ごせばいいだけだ。
そうすれば、この飢えも満たされる。それなのにますます飢えは酷くなるばかりで、改善するどころか悪化してしまった。
本人に会っている時はこれといって変化は見られない。しかし、彼の視界から一度外れてしまえば言いようのない飢えがオレの…赤司征十郎の体を襲う。
耐えられなかった。だから、僕は……、
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実家にある自室のベッドルームは視界を覆い尽くす赤い花弁とむせかえるような薔薇の香りで包まれていた。中心には赤い花弁を散りばめたシルクのシーツが掛けられたキングサイズのベッド。その上にすやすやと気持ちよさそうに眠る伊月さん。僕はといえば隣に寝転がり、ただジッと少し幼さなの残る寝顔を見つめている。
伊月さんが起きたら何をしようか。
彼の滑らかな頬を撫でながら、思いを巡らせる。
朝まで永遠の愛を語り合って飽きるほど愛し合う、なんてのはどうだろう。といっても彼が起きなければ、それも出来ない。
僕は頬を撫でていた手をつぅーっと動かし、呼吸をするために微かに開いた唇を親指の腹で撫でてみる。
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