第一回 優しさが足りない

 これはRZ高校のA氏が企画立案、プロデュースし、9696動画に投稿された作品である。
 作品を再生すれば、真っ白の画面に手書きの達筆な運命の文字が書かれた青い男性用マークとネタ帳の絵、パイナップルの絵、目だけ黒くした某ラノベキャラが映し出された。
 しばらくするとアップテンポの明るい曲が流れ始め、音源を示すかのように各イラストの上には文字が記されていく。

 そして、ネタ帳の絵の上に「あ」と言う文字が書かれ、それは始まった。



【ラジオ・残メンカルテット(第一回)】


ネタ帳(以下月)「あの、」

運命厨(以下森)「…」

パイン(以下宮)「…」

ラノベ(以下黛)「…」

月「あの!」

宮「あ?んだよネタ帳」

森「どうした?」

黛「……」

月「始まってます」

宮「はあ?」

月「始まってます、ラジオ!」

森「全国のお嬢さん方こんにちは。あなたのお耳の運命の恋人、M…」

宮「あーっと手が滑ったー!」

森「いたっ!いった…!!」

月「一応実名は避けて下さい」

森「あ、ああ、そうだったな。オレの運命の相手が聞いているのかと思ったらつい荒ぶってしまった」

黛「なあ、こいつっていつもこうなの?」

宮「うおっ」

森「いたのかラノベ」

黛「最初からいたけど」

宮「ったく、影薄過ぎんだよお前」

黛「お前らが濃すぎるだけなんじゃないのか」

月「確かに運営厨さんもパインさんも目立ちますよね。っていうかオレ、言いたいことあるんですけどいいですか?」

森「なんだ?」

月「なんでオレここにいるんですか?!共通点なんてあれだけで年齢は違うし、オレだけフツメンだし、身長だって…身長だって……!!この世は理不尽な布陣で出来てるんです、キタコレ…」

宮「ん?」

森「ん?」

黛「ん?」

月「え?」

森「えーっと、一個ずつ解決しようか。共通点も分かるし、学年が違うのも分かる」

月「はい」

黛「いっこ下だっけ?」

宮「おう、オレの弟と同い年」

森「身長も分かる」

月「はい」

宮「なんでお前その身長で影薄いの?」

黛「知らね」

森「でもな、お前はフツメンじゃない。間違いなくイケメンだ、イケメンなんだ!」

月「違います!」

宮「どっちかっつたら和風美人?」

黛「こいつ、後ろから見たらスポーティーな女子に見えなくもないぞ」

宮「マジ?」

黛「マジ」

森「ほほう」

月「ちょっ、なんなんですかもう!」

宮「あー!はいはい!」

黛「な?」

森「……ネタ帳、ナンパ中にうっかり声掛けても許してくれよ」

月「ううっ、ナキタイ……」

黛「で、最後のキタコレか」

月「!」

黛「おい誰か、こいつのうなじ見てろ」

森「あれなんだったの?」

宮「あー…ダジャレらしい」

森「は?」

黛「この部屋暖房効いてるよな?」

月「 」



【ネタ帳復活までしばらくお待ち下さい】


森「で、では、タイトルコール!」

全『ラジオ・残メンカルテット!!』

月「この放送はAグループ、その他のスポンサーの提供で送りします」

森「続いて『残メンがなんでも答えるよ!“残メンQ&Aのコーナー”!』…いやオレは残メンじゃないしパインだけだし」

宮「轢くぞ運命厨!」

黛「運命厨お前は十分残メンだ」

森「酷い!助けてネタ帳!」

月「これはオレ達が皆さんから送られてきた質問や悩み、無茶ぶりなどに答えていくというコーナーです。では早速、一通目のメールから読んでいきますね」

森「 」

宮「スルーされてやんの」

月「ZN(残メンネーム)・跳ね虎さんから頂きました、ありがとうございます!」

宮「あざっす」

黛「あざーす」

森「あざーっす」

月「えー……『今日の晩ご飯のメニュー、ハンバーグカレーかカツカレーでなやんでんだけどどっちがいいかですか?』」

宮「知らねーし」

月「オレはカツカレーがいいかな」

黛「カレー食いたい」

森「中をとってオムハヤシにしたら?」

宮「いやいやいやいや、お前ら何ナチュラルに答えてんの。つかカレーとオムハヤシは選択肢に入ってすらねーよ!」

黛「第三の選択肢だ」

宮「自由かっ!」

森「次のメールでーす」

宮「さっきの質問ちゃんと解決してからにしろよ!てめぇのでこっぱちパイナップルで凹ますぞ!」

森「止めろ…!」

月「パインさんパイナップル振り回さないで下さい!とても危険です!」

宮「缶詰めだから問題ねーだろ!」

黛「…(そういう問題じゃねーだろ。てか缶詰めって余計あぶねーじゃん)……跳ね虎、今日の晩ご飯はカツとカレーにしてみたらどうだ?」

\マジ轢くぞ!/
\轢いてないから!殴ってるから!/
\二人共落ち着いて下さい!/

黛「分けて食べるも良し、合わせて食べるも良し、二つで二度美味し……って、なんでオレがこんなフォローしないといけないんだよ(帰りてー…)」



【説教中です。しばらくお待ち下さい】



森「つ、次のメールでーす。ZN・青のトップブリーダーさんから頂きました、女子じゃないのが残念だ…!」

宮「…あざっす、運命厨はトップブリーダーの代わりにあとで轢いとく」

黛「あざーす」

月「ありがとうございます」

森「『最近、ある後輩とゴールデンレトリバーを見間違えちまうんだけど、オレは眼科に行った方がいいのか?』」

黛「眼科は止めとけ」

宮「精神科に行け」

月「せめて、カウンセリングかセラピーを進めて下さい!」

森「病院に行くなら引率するぞ」

月「目的が見え見え過ぎてちょっと引きました…」

森「 」

黛「トップブリーダー、とりあえず周りの友達に相談することから始めろ…ってだからなんでオレがまとめてんだよ」

宮「んじゃ、次な。ZN・おは朝は神の信託さんから頂きました、あざっす」

森「あざーっす」

黛「あざーす」

月「ありがとうございます」

宮「何々?…『今日のかに座のラッキーアイテムである“河童の尻小玉”を探しています。どなたか持っていませんか?』…持ってる訳……あ?何?これ読めって?」

月「?」

宮「えー…っと、『荒川の河川敷で偶然スタイリッシュな河童と出会い、相撲勝負をして勝ったら尻小玉を貰えました。ニヒルな顔で川へ帰って行く河童は印象的でした。という訳でラッキーアイテムの件は大丈夫です。皆さん、お騒がせして申し訳ありませんでした。PS・下僕が「やべーチャックやべー!すげー、裾に水溜まってタプンって…!」と訳の分からないことを言いながら腹筋爆散しているのですが、どうしたらいいのだよ?』知るかっ!!!」

黛「ツッコミが追い付かない…」

森「これ絶対カウンター食らって痛い目見るタイプの質問だよね」

月「どう、します?」

宮「軽トラで轢く」

森「ぶはっ!」

黛「…ぶふっ」

月「ふふっ」

宮「……」

森「パインがむしんに、メールの内容が書いた紙を…轢いてるふふふあはははっ!」

黛「んんっ…おま、どっから持って来たんだよ、その軽トラのミニカぁ」

宮「八百屋からお守りに貰った」

森「お守りっ…!」

月「っ、油性マジックで名前書いてる」

黛「ほんとっ、だ」

森「次からパインの癇に障るメールは紙がぐしゃぐしゃになるまで軽トラで轢かれるのでそのつもりでいて下さいっ」

黛「最後のメールな。ZN・真紅の天帝さんから頂きました、あざーす。(しっかし、えらく厨二くせーZNだな)」

月「ありがとうございます」

宮「あざっす」

森「あざーっす」

黛「『黒歴史の消し方を教えて下さい』」

月「あ!クロレラの黒歴史、キタコレ!」

宮「ZN・武将の眼鏡さんから頂きました、『黙れネタ帳』。ツッコミあざっす」

森「体よくツッコミメールが用意されているなんて、このラジオ出来るっ…!」

黛「メーーールっ」

宮「知ってっか真紅の天帝、歴史はな消せねーんだ。一生背負っていくもんなんだよ。だからな、その黒歴史ごと受け入れられるような器のデカい男になるんだな」

森「ウソ、パインがまともな事言ってる」

月「要は消すのは無理って言ってるだけなんですけどね」

黛「という訳で黒歴史の消し方は存在しない。もう手遅れだな」

宮「何?一旦CM?!」



+++

「青春の一ページ。その、」
「一瞬の出来事を僕らと綴りませんか?」
「両手いっぱいの思い出を抱えて、笑いあいませんか?」
「んっと楽しい日々が待っています」
「SR高校」


「Aグループは世界一ィィィィイイイ」
「Aグループです」

+++



宮「ぶほっ、CMっ…!」

森「CMっ…!!」

月「ふふ、くふっ…!」

黛「素人のラジオでここまでするか普通……ぐふ、ふっ…なんなのマジで」

森「あー、オレ、今更背後が怖くなったわ。今度からちゃんとやろー」

月「野郎とヤろう?」

宮「ネタ帳ー、軽トラで轢くぞー」

月「いった…!」

黛「容赦ないな」

森「そういえば、ラノベって今月が誕生日だよな。という訳でバースデーケーキでーす、おめでとう」

月「おめでとうございますラノベさん!」

宮「良かったな、ラノベ」

黛「…おい」

森「わー、めでたいな」

月「そうですね」

黛「おい」

宮「んだよ、嬉しくねーのかよ」

黛「ド真ん中にSM用の真っ赤な低温ロウソクがぶっ刺さってるケーキ見て、素直に喜べると思うか?オレは思わない」

月「…」

宮「…」

森「…」

黛「笑いたきゃ、笑えよ…」

宮「……」

月「……」

森「……」

黛「これ、ロウソクに火点けたら爆破とかしねーよな。…あ、導火線ねーわ」

森「………ぶふっ」

宮「デデーン!運命厨、顔面ケーキー」

森「?!!」

黛「ハッピーバースデー・オレっ…!」

森「ちょ、ぶっ…!」

月「あはっ!ふっきんつら……!」



【ケーキはスタッフが美味しく頂きました】



宮「なんか生クリームくせーな」

森「誰のせいだと思ってる…!」

月「ほら、二人共最後ですよ」

黛「感想の他にも“残メンQ&Aのコーナー”への質問や悩み、無茶ぶりや新コーナー“一言物申し隊”への一言も募集してる。全ての宛先はコメント欄まで」

宮「お前らのご応募、」

全「待ってまーす」

月「という訳で、今回のお相手は」

宮「みゆみゆ命・パインと」

森「女の子命・運命厨と」

黛「二次元命・ラノベと」

月「ダジャレ命・ネタ帳でした」

全「次回も残念なラジオがやって来る?」


森「この放送はAグループ、その他のスポンサーの提供で送りしました」


\パインめ、次回目に物見せてくれる/
\どこの悪代官だよ轢くぞ/





 こうして四つのイラストが描かれた白い画面は黒い画面に切り替わり、停止した。
 どうやら放送は終わったようだ。
 そして、このハチャメチャラジオは次回もあるらしい。

続く...?






[前へ] [次へ]
[戻る]





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -