誠凛わちゃわちゃの海常編を書こうとして迷走した。

 その日、海常高校男子バスケットボール部は練習試合の為に都内某所の高校に来ていた。今回の相手はランアンドガン主体の中堅クラス。言わずもがな、仮想誠凛を想定して選んだ学校だ。あの影の希薄なパサーやずば抜けた身体能力を持つルーキーに加え、一・二年だけとは思えないトリッキーな作戦と攻撃力からすれば、見劣りはするが前例がある。油断は出来ない。
 しかし、最近オーバーワーク気味の黄瀬をフル出場させるのもどうだろうか。主将・笠松の打診に監督のは下顎に溜まる豊満な脂肪をたぷたぷしながら思案する。結局出された結論は第3Qからの出場とコピースキルの禁止であった。
 黄瀬は不満げに唇を尖らせていたが、それを口にする気配はない。おそらく、笠松のしばきを警戒しての事だろう。練習試合に来てまで笠松の空中殺法を食らうのは誰だって遠慮したい。
 仕方なく、用意されていたベンチに腰掛けていた黄瀬の視線が目も覚めるような鮮やかな青色のユニフォームを身にまとった笠松に投げられる。それに気付いた笠松は片眉を器用に上げ、黄瀬を見返した。
 黄瀬はにんまりと笑みを作り、言う。

「オレが出るまで負けないで下さいね笠松先輩」
「馬鹿言ってんなよ。オレ達が負ける訳ねーだろ」

 もう、誰にも負けない。
 負けたくない。

「自分の出番が来るまで大人しく待ってねーと、しばくからな」

 黄瀬の肩に微かな痛みを残し、笠松を含むスターター五人はコート内に足を踏む入れた。

「もうしばいてるっスよ、先輩」



 結果からいえば試合は快勝。内容的にも出来過ぎているぐらいの出来だった。もちろん課題や反省点はまだまだ山済みだし、今日よりも明日、明日より明後日とパフォーマンスの質を上げなければならないから練習を怠るなんて有り得ない。
 まあ、しかし。
 やはり勝つのは気分がいい。今だけは勝利の余韻に浸るのも悪くないだろう。
 青いジャージ集団の先頭を歩く笠松は心地良い疲労感の中、今日の試合を今一度思い出していた。第1Qの中盤に出した森山へのパスはドンピシャだったとかドライブの入りが少し遅かったとか。終わっても尚、笠松の頭の中はバスケの事で一杯だった。
 の、だが。
 隣をいつも以上にそわそわしながら歩く黄色い後輩が目についてしまう。フラストレーションが天元突破した笠松は隣を歩く黄色を叩いた。力の限り、思い切り。

「いった!何なんスかいきなり!?」
「お前こそ何なんだよ!さっきからそわそわそわそわしやがって!」
「」






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