「なまえ、この西瓜どうしたの?」

軒下からすぐに見える水道で、西瓜を冷やしておいた。きっと藍ちゃんは興味を持つだろうから、気付くまで黙っていようと思っていたけれど、案の定彼の目に止まったようだ。

「真斗がくれたんだよ。大きいでしょ?」

「確かに、直径が平均的な西瓜より2.5cm長いみたいだね」

「藍ちゃん、西瓜は好き?」

藍ちゃんは指を顎に添えて少し考えるポーズをした。その仕草がとってもきれいで、私はそれがとっても好きだった。

「撮影で少し食べたことはあるけど…美味しいかどうか、考えたことはなかったな」

「じゃあ、食べて確認しようよ。そろそろ冷えたと思うから」

サンダルを履き、西瓜へ駆け寄る。
大きな聖川西瓜は、見かけ通りとっても重い。真斗が気を利かせてここまで郵便で届けてくれて、本当に良かった。
よいしょ、と掛け声と一緒に持ち上げる。

「なまえ、重いでしょ。僕が持つ」

「ありがとう、藍ちゃん」

大きな西瓜を軽々私から取り上げると、藍ちゃんは部屋の中へ入っていく。藍ちゃんは、本当に優しい子に育ったなあ。我ながら感動。
感動していると、藍ちゃんがひょいっと顔を出した。

「なまえ、これどこに置けばいい?」

「えっとね、どうやって食べる?西瓜割りでもする?」

「西瓜割り…」

興味があるようです。




「なまえ、15cm右。そのまま真っ直ぐ4歩」

「なんで私がやるの〜?!」

「ほら、曲がってるよなまえ。前見て」



このあと、二人でおいしくいただきました。
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