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※高校生で恋人同士













「ウルビダ。ずっと、此処に居て」
「正体がばれてしまった以上私はもうこの場所には居られない。さようなら、グラン」
「待ってよ!ねえ、お願いだから・・・君を、愛してるんだ」



愛の言葉は舞台の上で



「はーい!カットカット!」

パンパンと手を打ち鳴らし、布美子は形の良い眉をキッと吊り上げた。

「ちょっとヒロトに玲名!ここは盛り上がるシーンなのよ?もっと感情を込めて!」
「・・・そうは言われても、だな」
「ねえ、布美子。この設定ちょっと無理があるんじゃない?」
「何言ってるのよ。高校生活最後の文化祭に相応しい純愛劇じゃない!」

「文化祭まであと2週間」と大きく黒板に書かれた教室には放課後というのに半数以上の生徒が残っていた。文字通り文化祭を二週間後に控え、各クラス、各文化系の部活は慌ただしさを増している。ここ、3年C組も例外では無い。クラスの出し物で演劇を選んだ事により放課後は毎日、練習を行っていた。出し物企画で一位をとったクラスには副賞で焼肉食べ放題券がクラス人数分貰える事もありやる気は十分だ。

「一国の王子とその城に潜り込んだ女スパイは実は腹違いの兄妹で、しかもその二人が恋に堕ちていくと言う美しくも儚い愛のストーリーよ。これのどこに無理があるって言うのよ?」
「なんというか・・・高校生には重すぎる内容だなあ、なんて」
「ばっかねー高校生だからこそでしょ。愛とは何かを改めて考え直す良い機会じゃない。さあ、今のシーンもう一回!」

布美子の声にてきぱきと音響係りやら大道具係りやらが動いていく。クラス投票でダントツの票を入れられた主役二人は大きく溜息を付いた。

「・・・大体、グランとウルビダってそのままじゃないか・・・」
「この脚本、布美子が考えたからしょうがないよ」
「はいはい二人とも!24ページの冒頭からよ!」

監督兼脚本家である布美子が丸めた台本を叩くのを合図に練習は再開された。





「『この身が業火に焼かれようと、愛し続けると誓おう』・・・布美子のやつ、良くこんな恥ずかしい言葉ばかりを並べてくれたものだな」

玲名は台本を机の上にパサリ、と置いた。背を伸ばし、そして息を吐く。
すると、トントンと扉を控えめにノックする音が聞こえた。どうぞ、と返事をするとガチャ、と扉は開きそこに顔を見せたのは台本を片手に持ったヒロトだった。

「ごめん、玲名。もしかしてもう寝るところだった?」
「いや、大丈夫だ。どうした」
「うん、これさ。練習しない?」

困ったように笑いながらヒロトは台本を掲げてみせた。

「玲名との掛け合いが多いから二人でした方が効率的かなって思ったんだ」

二人してベッドに腰掛け、台本を開く。ヒロトは背中を壁に預けるとパラパラとページを捲った。

「覚えるのが一苦労だよね。ちゃんと覚えれるかなあ」
「主役は台詞が多いからな。お前はサッカーとこれと掛け持ちはきついだろう。今からでも遅くないから誰かに変わってもらったらどうなんだ」

そう言うとヒロトはムッとした表情を見せながらこちらに顔を傾けた。

「平気だよ。それに例え台詞だとしても玲名が他の男に"愛してる"なんて言葉を紡ぐなんてそっちの方が、俺は嫌だ」
「・・・っ!お前は、」
「だから、このままで良いよ。このままが良い。さ、練習しよ」

恥ずかしげも無くさらりとそう言いのけたヒロトを横目に玲名の頬に赤みが差す。それに気付いているのか、気づいていないのか、彼は台詞を読み上げ始めた。



「『ウルビダ。ずっと、此処に居て』」
「『正体がばれてしまった以上私はもうこの場所には居られない。さようなら、グラン』」
「『待ってよ、ねえ、お願いだから・・・君を、愛してるんだ』」
「『私もお前を愛している。けれど、もうどうする事も出来ないだろう』」
「・・・君を手に入れるためならどんな手段も選ばないよ」
「『この手を離せ、』・・・そんな台詞あったか?」

練習を初め長針が一周した頃には、二人は台本は閉じたままスラスラと台詞の掛け合いをするようになっていた。

「ううん、今のは俺の感想」
「何だそれは」
「ねえ、玲名。俺がグランになるずっと前から君の事好きだったって知ってた?」
「・・・いや、知らなかった」
「だよね。だってずっと隠してきたもん」

ヒロトがゆっくりと玲名の前へ移動するとベッドがギシリと音を立てた。

「でも絶対に手に入れたかったから、手段は選ばなかったなあって。だから今こうしていられるんだけど」
「それは・・・台詞の続きか?」
「まさか」

クスリと笑うヒロトに心拍数が上がっていく。トン、と壁に手をついたかと思うとそのまま端正な顔が近づいてきた。避ける間も無く唇が重ねられる。

「何度も愛してるなんて言われたら欲しくなっちゃった」
「ただの台詞じゃないか・・・っ!あ、馬鹿!手を入れるな!」
「大きな声出すと誰か来ちゃうよ」

その言葉に思わず手を口元に当て、キッとヒロトを睨みつけた。

「お前・・・こっちが目的で来たのか」
「いやいや、ちゃんと練習もしようと思ってるよ?」
「・・・明日早いんだぞ。朝練があるのを忘れたのか」
「大丈夫、覚えてる。だから、一回だけ」

完全に火がついてしまったようで、ヒロトは一歩も動かない。いつの間にか手に持っていた筈の台本がするりと抜き取られていた。

「・・・玲名、しようよ」

耳元で囁かれ、ぞくりと背中に何かが走る。
そのまま小さな抵抗も空しく、ポスンとベッドへと押し倒された。





「『愛してるよ。だからずっと俺と共に生きて』」
「は、あっ、ヒロ、ト、んんっ」
「台詞の続きは?練習もするんでしょ?」
「あっ、ば、か・・・んっ、あっ」

グチャグチャという卑猥な水音が鼓膜を支配する。ヒロトの指が蜜壺から出し入れされる度に蜜は止めどなく溢れ出ていた。

「『この身が業火に焼かれようと、愛し続けると誓おう』でしょ?ほら、言わないと続きしてあげないよ」

先ほどの動きとは打って変わり、ゆったりとまるで焦らすような動きになる。ヒロトの手によって熱を帯びた身体の奥が疼いてたまらない。玲名は僅かに残った理性さえも押し込み、その薄い唇を開いた。

「『こ、この身がごう、かに焼かれ、よう、と』・・・っ!あっ動かす、なっ」
「ほら。ちゃんと、俺を見て」
「あっ、は、・・・っ『愛し、つづ、けると、誓お、う』っん、はっ」
「うん。良く出来ました」

チュッと唇にキスをされたかと思うと、蜜壺からヒロトの指が抜かれた。そして直ぐに指とは比べ物にならないほどの彼自身がググッと蜜壺へと押し入れられていく。

「んんっ!はっ、ヒロ、ト、ああっ」
「玲名・・・気持ちいい?」
「ん、んっああっだ、め、そこ、だめ、も、」
「ここ?ここが良い?」
「あっ、や、あっいっく、・・・っ!」

敏感な場所を攻められ、玲名はヒロトの肩にギッと爪を立てながら身体をビクンと大きく揺らした。

「はあ、はあ、ん、すまな、い・・・」
「大丈夫だよ。・・・ねえ。それより、俺もイかせて?」
「ん・・・」

ギシギシとベッドが揺れ始めると脇に置かれた台本がパサリとベッドから落ちていく。ヒロトが動くと結合部からは再度グチャグチャと音が聞こえ、玲名の甘い嬌声はヒロトの唇によって吸収されていった。





二週間はあっという間に過ぎ、高校生活最後の文化祭は無事に幕を下ろした。
ヒロト達のクラスは残念な事に出し物企画では一位とは僅差での二位だった。それでも、例え台詞であろうと玲名から何度も愛の言葉が聞けたヒロトは嬉しそうに笑っていた。
ちなみに一位を勝ち取ったクラスもまた演劇であり、サッカーで地球を征服しようとする宇宙人と戦う勇敢な地球人の姿を描いた努力と友情の物語だったとか。




(愛の言葉は舞台の上で)
人生という名の舞台の上で、君に永遠を誓おう




※本来のリクエストは「王子or姫とスパイの大人向け」だったのですが・・・ゆかりの頭が足りませんでした^^^^本当に申し訳ありません><一応途中までは書いたのですがそこからどうしても進まなくて・・・しょぼん。でも素敵なリクエストありがとうございました・・・!;O;

11.10.20



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