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ジェネシス計画という檻の中で生きていくためには、切り捨てるものがたくさんあって、でも、本当は、ほんとう、は



一瞬だけ触れた指先に



「どうして私がお前と同じチームなんだ・・・!」

チーム編成発表の後、直ぐに玲名は俺のところへとやってきた。
彼女がここへ来る事は想定内ではあった。

「実力を考えたら君はガイアに居るべきだよ」
「黙れ!同じチームだという事も腹立たしいのにお前がチームキャプテンなんて私は認めない!」

玲名はギッとこちらを睨みつける。彼女はそんな目をする女の子だっただろうか。

「君が認めずとも父さんが認めてくれたんだ。君だって副キャプテンとして認められているじゃないか」
「五月蝿い!」

彼女の形の良い眉は吊り上がり、小さな拳はぎゅっと硬く握られていた。そんな彼女を見つめながら、心はゆっくりと沈んでいく。

(君をガイアにするように父さんに頼んだなんて言ったら怒るだろうな)

大切な、特別な幼馴染と戦うのが嫌で、同じチームにしてくれと父さんに頼みこんだのは記憶に新しい。

「玲名・・・」
「っ!触るな!」

彼女の名を呼び、そしてそっと彼女の指先に触れたけれど、その瞬間に叩き落される。

「それと、私はウルビダだ。グラン」

怒気の籠った、冷たい彼女の声にハッと我に返った。

「そう、だね。・・・そうだったね」

自分も、彼女も、今まで通りでは居られない。違う人間にならなくてはいけないのだ。

「・・・ウルビダ。とにかくチームもキャプテンも決まった事なんだ。ジェネシスになるためには君の力も必要なんだよ。理解出来るよね」
「・・・」

スッと目線を逸らし、その場を立ち去ろうとする彼女に思い出したように声を掛ける。

「ああ。一つ良いかな」
「・・・何だ」
「聞き流して貰っても良いんだけどね」

相変わらず、眉根は寄っているが構わずに言葉を紡ぐ。今伝えておかねば後悔しそうだったから。

「・・・俺さ、好きな子が居るんだけど、その子はもうここには居ないんだ。いつか会えるかも知れないけれど、いつになるか分からない。でも、ずっと彼女を好きな気持ちは変わらないと思うんだよ。・・・俺、玲名って子が好きなんだ」

そう言って二コリとウルビダに微笑みかけると彼女は酷く驚いた顔をして見せた。
けれど直ぐにクルリと踵を返し、その表情は見えなくなる。

「・・・お前がヒロトに戻った時に返事をさせる」

耳に届いた彼女の言葉に沈む心は少しだけ軽くなったような気がした。去りゆく彼女の背中に小さく呟いた言葉は空気に溶けて消えて行った。

「・・・好きだよ、ずっと」




(一瞬だけ触れた指先に)
しばしの、さよならを。





※グラウルちゃん切なすぎてこんなんしか考え付かなかった・・・




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