「生意気」
それがアイツの第一印象。









気に食わない点はたくさんあった。派手な金髪とか着崩した制服とかその他諸々。でも何よりあの自意識過剰な性格が許せなかった。

「………………は?」
「先輩とか後輩とかめんどくせえ、うん。偉い偉くないを決める基準は歳なんかじゃねえ。才能だ。ここは美術部だろ?なら美術的センスが一番高い奴、そいつが一番偉くあるべきだ」

開いた口が塞がらない。

サソリの前で大口をたたくのは、今日入部してきたはずの1年のデイダラ。

「ああ?何か言ったか糞一年」
「ちゃんと聞いとけよ糞先輩」
「………死んどくか?」
「願い下げだ、うん」
「殺す」
「はっ!オイラがアンタみたいな奴に負けるわけねえだろ!」
「過信しすぎだ」

バキッという異様な音が美術室に響く。サソリがデイダラを殴り、デイダラが床へと投げ飛ばされた。休む間もなく仰向けに倒れたデイダラの腹に痛みが走る。そこに垂直に乗せられたのは、絵画。

「痛え!」
「見ろ餓鬼」
「あ?」
「賞を総嘗めした俺様の作品だ。てめえにこれが描けるかよ」
「こんなもんオイ、ラにだっ、て…」
「おいらにだって、何だって?」

デイダラの目に飛び込んできたのは、まさに芸術。圧倒的なそれに、ごくりと唾を飲み込む。

「す、すげえ…!」
「だろ?これは俺様がた」
「すげえ!うん!アンタすげえんだな!」
「あ?俺がすげえなんて今に知」
「これ見りゃ一発でわかる!アンタはオイラより上にいる。間違いねえ!」
「そんなこと当た」
「さっきはあんな態度取って悪かった、うん。でもオイラ年齢にこだわってバカみてえに威張る奴だいっきらいなんだ」
「てめえそれでも謝っ」
「でもアンタならオイラの先輩として認めてやってもいいぜ」
「………」

人の話に一切聞く耳をたてないデイダラに、サソリは青筋を立てる。その上、コイツは今何て言った?先輩として認めてやってもいい、だと?なぜこんな奴なんかにわざわざ認めてもらわねばならないんだ。

サソリは激しい憤りを抑えられなくなり、デイダラの腹の上に置かれた絵画を持ち上げ、今度はさっきよりも勢いよく落とした。

「うぐっ!な、何すんだよ!オイラが認めてやるって言っ」
「人の話を聞け」
「!?!?」

腹の底から出てきているような低い声で、サソリは言う。腹から喉元に移動した絵画のせいでデイダラは上手く声を出すことが出来ない。

「敬語を使え。騒ぐな喚くな黙ってろ。それと、」
「………」
「俺はてめえより美術的センスが高いイコールてめえより偉いはずだ」
「………」
「下は上の言うことは聞くもんだ。そうだろ?糞一年の、でーだらくん」

手を置いた絵画に更に体重をかけ笑みを浮かべるサソリ。そのときの屈辱的に歪んだデイダラの表情が、サソリの脳裏に焼きついて離れなかった。









先輩は敬え(じゃなきゃ殺す)





先輩は敬え!
ちなみにこの二人以外美術室には誰もいなかった設定です←





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