歳の差が全部悪い、なんて信じてる。
もしオイラがあとさんじゃうなんにち早く生まれていたら、何かが変わったのだろうか。
「…いいじゃねえか」
「え。マジ、ですか?」
「誉めてんだから素直に喜べよ」
「いや、サソリ先輩がオイラの作品誉めるとか、今までなかったからびっくりっていうか、うん」
「俺だって良いって思ったら良いって言うぜ」
サソリからデイダラに手渡されたのは一つの絵画。裏に刻まれた名前を見る限り、この絵画の作者はデイダラのようだ。
「…サソリ先輩」
「あー?」
「オイラっていい後輩?」
「はあ?」
「オイラにとってサソリ先輩はいい先輩だ。ルックスいいし頭いいし芸術に関しては尊敬してるし。性格は、まあ、置いといて、うん」
「俺が一番売りにしてんのは性格なのにな」
「うそっ!?」
「嘘に決まってんだろ」
薄く笑うサソリにつられてデイダラも顔を綻ばせる。ああ、このときがずっとずっとずっと続けばいいのに。
そう思ってると、いつも、来る。
「あ?ちょっとわりいな」
「どーぞどーぞ。先輩の彼女すんげえ可愛いもんな、うん」
「手ェ出したら殺す」
「出しません」
デイダラは即座に両手を上げ降参を意味するポーズを取る。するとサソリはデイダラの額にデコピンし、携帯を片手に美術室を出ていく。その後ろ姿を最後まで見送ったあと、デイダラは辺りを見回した。
美術室にいるのはデイダラ一人。その孤独もデイダラの涙腺を壊す要因となる。
「情けねー…」
ぽたり、ぽたりと絵画に落ちていく水滴。滲んだ絵の具がまた、新しい絵を描く。
さて。
タイトルは何にしようか。
憧れ→好き(そう認めたら、きっと負け)
憧れ→好き
無駄に続きます。