お財布がとっても軽いです。要するにお金が全くありません。









「駄目だ」
「そこを何とか!うん」
「何度頼んでも結果は同じだ」
「デイダラちゃん諦めなって。角都が金のことで退くわけねーじゃん。ケチだし」
「飛段。俺はケチではなく倹約家、」
「あーハイハイわかってますわかってますったらァ!」
「貴様。今此処で殺してやる」
「殺せるもんなら殺してみやがれケチオヤジ!」
「倹約家だ!!!」
「ちょっオイラの話は何処行ったんだよ!?」

必死に叫ぶデイダラを無視して狭い室内にもかかわらず戦闘体勢に入る不死コンビ。こんなしょーもない喧嘩に巻き込まれてたまるかよ。

デイダラは凄まじいスピードでその部屋を抜け出し、安堵のため息をつく。

無理も承知でケチの角都に提案したのはお小遣いの前借りだ。そう、デイダラは今月ピンチなのだ。

「やっぱり大人買いってのは大人がやるもんだな、うん。でもオイラもう大人なんだし大人買いしたっていいじゃねーか!」

ずっと気になっていた漫画を大人買いしてしまったデイダラ。その代金は予想以上で、起爆粘土の材料の資金までも消費してしまった。

「そもそもリーダーがバカみてーに今月だけオイラに任務入れまくったのがいけねえ!オイラのせいじゃねえ!うん!」
「………邪魔だデイダラ」
「あ!サソリの旦那」

狭い廊下で一人怒鳴っていたら現れたのはヒルコを身に纏ったサソリ。ぶっちゃけそのヒルコの方が邪魔だよ、なんて口が裂けても言えない。

「廊下で騒ぐな」
「な、なあ?サソリの旦那」
「………………………何だ?」
「何だよ無駄に長いその間!」
「これ以上お前と会話を続けたくないという俺の精一杯の意思表示だ」
「オイラ今月ピンチなんだ」
「…お前俺の話聞いてたか?」
「大人だからって大人買いしちまって起爆粘土の材料買う金がなくなっち、って旦那何処行くんだよ!?」

デイダラの話を最後まで聞かずに歩き出すサソリ。だがデイダラはサソリを逃がす訳にはいかない。というよりツーマンセルをデイダラと組んでいる以上、彼に支障が出たら困るのはサソリだ。

不格好ではあるがデイダラはヒルコの背中に這いつくばる。サソリは尾で払おうとしたが怪我をされたら困るので、仕方なく立ち止まった。

「はあ…金は貸さねえぞ」
「じゃなきゃオイラ戦えない!困るのは旦那だぜ!うん!」
「じゃあコンビ解消だ」
「え」
「金の管理も出来ない奴と俺は組みたかない」

暫しの沈黙。さっきまであれほど騒いでいたのになかなか背中から返事が来ない。

「おい、デイダラ」
「………お願い」
「あ?」
「お願いっコンビ解消なんて言わないでくれ、旦那…」
「………」
「お願い、します」

普段とは比べものにならないくらい小さな小さな相方の声。デイダラに気付かれぬようサソリはこれまた小さくため息をつく。

「デイダラ離れろ」
「やだ」
「いいから離れろ。ヒルコから出れねえだろ」
「うん?」

渋々デイダラが退くと、カタカタという音を発しながらヒルコから現れたサソリ本体。デイダラはサソリ本体が現れた瞬間直ぐ様その身体に抱きついた。

「なっデイダラ!」
「旦那!旦那!オイラ漫画売って金作って材料買うから!だからコンビはっ」
「(最初からそうすりゃ良かったんじゃねえか?)」
「だからコンビは、旦那!」
「ああわかった。芸術コンビは続行だ」

その言葉を聞き漸く離れるデイダラ。サソリが髷を撫でてやると、彼は肩をすくめ嬉しそうに笑った。









お願い、します(漫画全部売ってこいよ)(う、うん)(コイツ…!)


03.お願いします!






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -