サソリの旦那に決定!









飛段に別れを告げてから5分程でデイダラは木の葉駅に到着した。とはいっても猛スピードで自転車を飛ばしたのだから息切れははんぱない。

息を落ち着かせ辺りを確認する。あの印象的な赤髪が視界に入らないのだからギリギリセーフといったところか。安堵の溜め息をつき自転車を脇に止めると、またもや震える携帯。勿論お相手はサソリだ。

「もしもしオイラデイダラ」
『…お前がデイダラってのはわかってんだからそれ言うの止めねえか?』
「癖なんだから仕方ねえだろ、うん」
『それよりお前チャリ通か』
「え?オイラのこと見えてんの?」
『チャリは駐輪場に置いてこい。お前から見て右奥に黒い車あるだろ』
「あの高そうな車か?うん」
『それは俺の車だ。早くしろ』
「え!?アンタあんな高そうな車に乗ってんのか!?」
『早くしろ』
「わかりました」

デイダラが動く度に髷も慌ただしく揺れ動く姿をサソリは車内から見つめていた。周りからしたら只のアホにしか見えないがサソリの場合あれがどうも可愛く思えてしまう。恋は盲目とはこのことだろうか。

そうこう考えている内に自転車を置いてきたデイダラにコンコンと窓を叩かれた。窓を開き助手席に回れとだけ告げると、デイダラは言われたとおり助手席へと移動した。

「アンタもしかしてボンボン?」
「金に不自由はしてねえが自慢できる程持っちゃねえぜ?」
「いやこの車からして金持ちオーラ出てるぞ、うん」
「俺にお似合いだろ?」
「全然」
「うぜえ」

デイダラがシートベルトをしたのを確認したあと、サソリは車を走り出させる。きょろきょろと車内を見回したあと、デイダラは恐る恐る口を開く。

「なあ、サソリ」
「…てめえ俺を呼び捨てにしてんじゃねえ」
「じゃあ何て呼べばいいんだよ。サソリさん?サソリ先生?サソリ師匠?」
「サソリ先生ってのは悪くねえな」
「オイラそれ絶対嫌だぞ、うん」

信号で止まったのでサソリは横目でデイダラを見ると、彼は口を尖らせムッとしていた。その尖った唇に噛みつきたい衝動にかられたが、今は我慢。

「まあ何でもいいが呼び捨てはやめろ」
「うーん…じゃあサソリの旦那ってのは?」
「サソリの旦那ぁ?」
「よし決まりサソリの旦那って呼ぶ!いいだろ?旦那!」
「…勝手にしろ」
「ところで旦那。何処へ向かってるんだい?」
「お前よく喋るな…俺の家だ」

サソリが荒々しくハンドルをきるとデイダラの身体が大袈裟に傾いた。

「アンタの家行ってどうすんだよ、うん」
「お前の実力が見たい」
「うん?」
「相変わらず理解力乏しいな。お前がどれくらいの才能を持ってるのか知りたいって言ってんだよ」
「あっオイラの美術的センスを知りたいってことだな!お安い御用だぜ!うん!」

オイラのアートはクール云々と話し始めるデイダラ。サソリは呆れた目でデイダラを見つめたが当の本人は全く気付いていない。まあだんまりされているよりはマシだがこれはあれだ、物凄くうざい。

「てめえの芸術論はあとでたくさん聞いてやる。…着いたぜ」
「え?もうかい?って、」

さっさと車を降りてしまうサソリに置いてかれまいとデイダラも急いでシートベルトを外し降りる。と、目に飛び込んできたのはデイダラの住まいとは比べものにならないくらいの豪邸だった。

「これアンタん家か!?」
「車止めたんだから当たり前だろ」
「だ、だってアンタボンボンじゃねえって…」
「こんくらいの家に住んでんじゃボンボンとは言えねえ」

こんくらいって…そしたらオイラの家は犬小屋同然になっちまうじゃねーか!

そう言ってやりたかったが彼を不機嫌にする要素はなるべく避けておきたい。というより避けなければいけないのだ。

「何やってんだ。早く来い」
「う、うん…」

さあ芸術の勉強だ!









今日は晴れ(心の天気はどうなってる?)









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