親友じゃなくて心友!









今日のデイダラはいつもと違う。どこがどう違うかって?髪型がいつもの髷ではなく、耳元で片方に結わいている。所謂サイド結びというもの。首筋に貼り付けている大きな白い絆創膏を隠すため、髪型を変えざるを得なかったのだ。

学校に着くと階段を上がり教室へと入る。鞄を下ろし椅子に座ると、飛段が前の席の椅子に勢いよく座ってきた。待ってましたと言わんばかりの顔をしている。

「デイダラちゃんおっす!あ?何かいつもと雰囲気違くね?」
「髪型だ髪型。そんくらいわかれよ、うん」
「あーなるほど!言われてみりゃ髷がねえ!」

アホ丸出し。デイダラは飛段を不憫な奴だと感じた。

「って髪型なんてどうでもいいんだよ!それより昨日どうだったんだ!?」
「どうだったって、何が?」
「誤魔化してんじゃねーよ。赤髪ナルシヤローはどうなったんだァ?」

赤髪ナルシヤローというのは恐らくサソリのことであろう。出来れば話したくないが、無理がありそうだ。デイダラは頬杖をついて窓の外を見つめたまま、渋々口を開いた。

「どうなったって言われてもオイラにもよくわかんねえ、うん」
「はァ?わかんねーって意味わかんねー!付き合うか付き合わねーかの話じゃねーか!」
「だーかーら!付き合うけど付き合わないっつーか、付き合わないけど付き合うっつーか…」
「デイダラちゃん、頭大丈夫?」
「お前より正常だ」

両腕を伸ばし机に突っ伏すデイダラ。状況を理解できない飛段は首を捻るばかりである。

「でも飛段の言ったとおりサソリは本気みたいだぞ、うん」
「サソリってのはあの赤髪ナルシヤローのことか?」
「サソリ。それがそいつの名前」
「へー」
「サソリはG大の美術専攻に通ってんだ。そんで恋人になるって条件付きで、オイラの美術講師になってくれるらしい」
「な、何だそりゃ!?」

だからオイラにもよくわかんねえんだ!うん!とデイダラは声を張り上げる。

うん、オイラにだってわからないことだらけなんだ。サソリはきちんと美術講師を務めてくれるのか?恋人になるということは何をすればいい?そもそもサソリの目的は何だ?

「わかんねえことだらけかもしれないけどよォ、デイダラちゃんはその取引を了承したんだろ?」
「飛段。お前、了承なんて言葉知ってたんだ、うん」
「俺だって勉強してんだぜェ!ってそうじゃねえよ質問に答えろ!」
「了承っていうか…まあ、オイラやっぱりG大行きたいし、それにサソリは間違いなく天才だし。無償で講師やってくれんならいいかなって」
「だけどデイダラちゃん、大事なこと忘れてねえか?」
「……大事なこと?」

急に飛段は神妙な面持ちになったので、デイダラは突っ伏していた身体を起こした。

「デイダラちゃんはサソリとこれから付き合うんだぜ?」
「付き合うって言ったって、別にそんな問題ない、うん」
「ハッ強気だな。だがそのサソリの性格からして、デイダラちゃんが下になるのは間違いねーな」
「下?何が言いたいんだ?うん?」

今度はデイダラが状況を理解できなくなる。そんなデイダラを飛段は鼻で笑い、ぐっとデイダラとの距離を縮め耳元で囁いた。

「だからよォ、サソリと付き合うってことは」
「?」
「デイダラちゃんはソイツにあんあん啼かされるってことだ」
「っ!?」

飛段を遠ざけるためデイダラは瞬時に椅子を引く。微かに赤面してしまうデイダラとは対照に飛段は余裕の笑みを浮かべていた。

「なっ何言ってんだ飛段!うん!そんなこと」
「ありえねえ訳ねえよなァ?恋人同士なんだしよォ」
「恋人同士でも、そんなっ」
「まあせいぜい頑張ることだな。最初はすっげーすっげー激痛だけど慣れたら!………やばい!」
「やばいのはお前だ!うん!オイラそんなこと絶対しねえ!」
「はいはいご自由にー」

機嫌を損ねたデイダラはまた窓の外へと視線を移した。飛段は言い過ぎたかと思ったが、今思っても後の祭り。どう機嫌を取ろうかと考えていると、デイダラの結わいた髪の間からちらちらと見え隠れする白い物体に目がいった。

「デイダラちゃんこれ何?」
「ちょっ触んな!うん!」
「ばんそーこー?怪我でもしたのかよ」
「何でもない」
「……はっはーん!わかったぜェ!所有印だろ?」
「違っ…」
「出会ったばっかだってのに、随分と大胆じゃねえか」

飛段特有のゲハハハハハという何とも下品な笑いが教室内に木霊する。

「飛段いい加減にしろよ」
「ごめんごめん。だけどよォ、そんなでっけーばんそーこー貼ってるってこたァ、たくさんつけられたのか?」
「一ヶ所だ、うん。だけど目立つし痛いから」
「痛い?」

百聞は一見にしかず。
デイダラは結わいてある髪を上げ、少しだけ絆創膏を外す。くっきりと歯形が残り皮膚が破けてしまっているその傷跡を見た飛段は、息を呑んだ。

「デイダラちゃん、これって…」
「絆創膏貼っとく理由がわかったろ?うん?」

デイダラはまた絆創膏を貼り直し、それが隠れるように髪を垂らした。飛段は驚きを隠せないのか、目を見開いたままである。

「そりゃ所有印にしちゃやりすぎだろ」
「オイラもそう思う」
「な、なあ今更だけどよォ、デイダラちゃん大丈夫なのか?サソリと付き合うの」
「わかんねえ。でもオイラのG大行きたいって夢叶えてやるって言ってんだ。オイラもオイラで今あいつの力が必要だし。条件呑むしかないと思う、うん」

真っ直ぐなデイダラの言葉に反論することは出来そうにない。飛段は俯きガシガシと頭を掻く。何を言ったらいいかわからないが、とりあえず思うことは、

「何かあったらすぐ言うんだぜ!俺と角都でそいつボコボコにしてやっからよォ!」
「了解だ、うん」

不安ではあるがデイダラ自身が決めたこと。それにデイダラが自分の夢を叶えたいと言い出すきっかけを作ったのはサソリに違いない。傷の件は良く思えないが、その点に関しては感謝しなければならない。

だけど俺の大事な大事なデイダラちゃん傷つけたらタダじゃおかねー!








ジャシン様の鉄拳は超スーパー激痛だぜ!(覚悟しとけよ)









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