さあ震えろ鳴り響け!









「デイダラちゃん一ついい?」
「何だ?」
「アナタハ恋スル乙女デスカ?」
「乙女じゃねえけど恋はしてる」
「はあ…普通そんなに携帯握りしめてメール待つかァ?」
「サソリ先輩基本メール遅ェから余計気になんだよ」
「だからってデイダラちゃんが携帯握っていようとなかろうと、サソリ先輩からの返信率は変わんねえと思うんだけどよォ」
「あーもううっせーな!オイラが待ちたいから待ってんだ!別にいいだろ!うん!」
「だけど今は俺とマック中なんだから携帯しまえよばーか!」
「飛段お前ケチだな!」
「常識考えろよばーか!」
「お前にだけは常識とか言われたくねえ!てかバカとも言われたくねえ!」
「なら何度でも言ってやるよばァかばァかばァか!」
「なっ、飛段てめえっ」

いやお前ら二人共常識考えろよ此処は店内だろ、という視線が周りの客から浴びせられているのにもかかわらず、デイダラと飛段は取っ組み合いを始めた。

店員をそろそろ呼ぶべきかと一人の客が立ち上がった直後、規則的なバイブ音と愉快なメロディーが鳴り響く。そしてそれが二人の喧嘩に終止符を打ったようだ。

「お!サソリ先輩からだ!」
「そーですかよかったですねー」
「…何だよ」
「あー?」
「飛段はまだオイラの恋愛に反対なのか?」
「賛成か反対かって言うなら反対かもなあ」
「…あっそ」

ポテトを口に含みながらデイダラは軽やかにキーを打ち、文字を入力していく。その表情は誰が見ても微笑ましいと思うものであろう。

「デイダラちゃんってさァ」
「んー?」
「可愛いよな」
「………は?」
「だから可愛いよな」
「ごめん飛段。オイラ飛段のことかっこいいとか思ったこと一度もねえ、うん」
「お前可愛くねえ」
「オイラはそれでいい」
「?」

デイダラの手の中にある携帯がパチンと音を立て閉じられる。空になったトレーを片付け店を出ていくデイダラを飛段は慌てて追いかける。最後の言葉が意味深すぎて、飛段は先を行く彼の後ろ姿を見つめるばかり。

最近のデイダラはこういう意味深な発言が目立つ。これもサソリへの恋心を抱いたせいなのだろうか。

「デイダラちゃん」
「うん?」
「さっきの言葉ってどういう意味なわけ?」
「問題です」
「…はァ?」
「オイラは男でしょうか。女でしょうか」

急に振り返り、素っ頓狂な質問を投げ掛けてくるデイダラに飛段は眉を潜める。男か女かだなんて、今更そんなこと聞いてどうすんだ!

「男だろ」
「正解!飛段のくせによくわかったな!」
「てめえッ俺のこと何だと思ってんだ!」
「オイラは男だから可愛くなくていい」
「………」

可愛い可愛くない、という言葉は先程の会話に絡んでいる。どうやらあの質問も全く無意味なものではなかったらしい。

「飛段、オイラは男だ。可愛いとか美しいとかそういうのは、いいんだ。まあ男でもそういうのを求める奴はいるだろうけどな、うん」
「…要するに、自分は彼女としてサソリ先輩に好かれたいわけじゃねえってことか?」
「うん。オイラ自身を好きになってもらわなきゃ意味ねえし」
「…そりゃ難しそうだな」
「やり甲斐あるって言え」

その言葉のあと、メールの受信を告げる音がデイダラのポケットから流れ出す。携帯を取り出し無邪気に笑うデイダラに、飛段も呆れたと言わんばかりの笑みを浮かべた。









メールは10分に一度(そのたんびにアイツは笑顔を咲かすんだ)


メールは10分に一度
最後の()の台詞は飛段です。この悲恋シリーズ飛段が大活躍です(笑)
それとサソリ先輩はメールは10分に一度ですがデイダラは2分に一度くらい。だからサソリ先輩は返信が遅いなんて言ってます。補足のくせに長くなってすいませんorz





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