朝、暖かな光が差し込んで世界が色付き始める。
「おはようゼロスっ!」
「…ん、っておぉ!?」
まだ少し重たい瞼を開けると、目の前に若草色。
――クレアの瞳だ。
あまりの近さにゼロスの眠気は一気に吹き飛ぶ。
「ゼロスが朝からテンション高いなんて珍しいねっ!」
彼女は嬉しそうにニコニコと笑っている。
漸くクレアの顔が離れたと思い、ホッとしたのも束の間。
クレアがどういう体勢で自分を起こしたのか理解する。
「…クレアちゃん」
「んっ?」
そう、クレアはゼロスの上に馬乗りになるようにしてそこに居たのだ。
「…」
「…きゃうっ!」
ゼロスはクレアの細い腕を掴み、引っ張る。
すると先程までの体勢とは真逆になる。
「…ゼロス?」
若草色の瞳が真っ直ぐにゼロスを見つめる。
自分が今どんな体勢にあるのか全く理解していないのか、照れもせず、怒りもせず、唯唯蒼い瞳を見つめている。
「クレアちゃん…」
ギシ、とスプリングの軋む音。
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