「…ぜ、ゼロスが待ってるんでしょ?」

「クレアが理由を話してくれるまで行かない」

「…」


クレアはロイドの視線に耐え切れなくなり、遂には俯いてしまった。


「…私……ロイドと瞳が合うと、何だか恥ずかしく…なるから」

「…俺、てっきりクレアに嫌われたのかと思ってたぜ?」

「ちっ、違…!」


クレアは俯いていた顔をがば、と上げ、ロイドを見る。


「やっと真っ直ぐ、俺のこと見てくれたな?」


するとロイドは二カッと笑って、クレアの頭を撫でる。


「…私、子供じゃないよ?」

「でも俺より年下だろ」


いつまで経ってもロイドがそれを止めてくれないので、機嫌を悪くしたクレアは頬を膨らませ、そっぽを向く。


「むぅー…ロイド、稽古はいいの?」

「…あっ!アイツ遅刻にはうるさいんだよなぁ…じゃあな、クレア!」


そう言って階段に差し掛った時、ふと足を止める。


「…忘れ物!」


そしてクレアの頬に軽く口付ける。
彼は少し照れくさそうに笑って、階段を下りて行った。

廊下には顔を真っ赤にしたクレアが一人残される。




(ロイドのそういうところ、反則だよ…!)


2009.08.04. 


thanks:Mr.majorca

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