「なぁなぁクレア、今日の料理はやけに美味くなかったか?」
ニカッと笑ってロイドの左手が私の肩に触れる。
グローブ越しにも伝わる彼の体温。
「…美味しかったよ!」
「だろっ!リーガルにテセアラの料理を教えてもらったんだ」
「トマトを使わない料理ばっかりだけどね」
ジーニアスがやれやれと肩を竦め、料理を口に運ぶ。
その隣りではリーガルが尤もだ、と呟く。
トマトを使う料理を教える際、ロイドが激しく抵抗したのだろう。
「うん、でも本当に美味しいね!」
ロイドの料理は仲間達の大絶賛と共に、綺麗に平らげられた。
食事を終え、皆が各々の部屋へと戻ろうとする中、クレアもコレットと一緒に席を立つ。
すると、後ろからロイドに声を掛けられる。
クレアは必死に平然を装い、ゆっくりと振り向く。
「なっ…なぁに?」
「今度はクレアが料理教えてくれよな!…じゃ、二人共おやすみ」
「お、おやすみ…」
そう言うと先に行ってしまったジーニアスに追い付こうと走り出した。
(きっと…ロイドは気付いてないよね)
「どしたのクレア?」
「…ううん!何でもないよ」
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