「なっ…何よ?」
緊張している所為で声がうわずってしまう。
「…」
「…ゼ、ゼロス?」
クレアの鼓動が早鐘のように鳴る。
ゼロスにも聞こえてしまうのではないかと思うぐらいだ。
するとゼロスはニカッと笑って、
「クレアちゃんが食べさせて」
「…えっ?」
「何でも言うこと聞いてくれるんだろ?」
「う…うん」
確かにそう言った。
しかしそれはあくまで、患者を介抱する介護者としてのつもりだったのだが…。
クレアが返事に困っていると、先程見せた無邪気な笑みとは正反対の不敵な笑みを浮かべ、ゼロスは言う。
「…それか、俺さまと一緒のベッドで寝るのとどっちが良い?」
「たたたっ…食べさせる方でお願いしますぅ!」
「ぷっ…クレアちゃんってば本当にかーわーいーいー♪」
「は…早く食べないとお粥冷めちゃうからぁ!」
クレアは真っ赤になりながら鍋の蓋を開け、スプーンで適量を掬う。
「…はい、ゼロス」
「クレアちゃん…」
いつにもなく真剣な表情で見詰められ、クレアは恥かしさから目を逸らす。
*prev - 3 - next#