「ゼロス、お待たせ…」


クレアが部屋に入ると、ゼロスはベッドの上ですやすやと眠っていた。


(気持ち良さそうに眠ってる…。起こしたら悪いよね)


持って来たお粥を近くの机に置き、先程も座っていた椅子に腰掛ける。


(こうやって近くで見ると本当に綺麗だなぁ…)


まじまじとゼロスの寝顔を眺める。


(睫毛、長いなぁ…)


クレアはいつの間にか上体を屈めてゼロスの顔を覗き込んでいた。


「…そんなに近いとキスしちゃうぜ?」

「きゃっ!?」


驚きのあまり、思わず椅子から落下してしまう。


「いたたたた…」

「でひゃひゃ!クレアちゃん驚き過ぎ〜」


ゼロスはベッドの上でお腹を抱えながら笑い転げている。


「…そっ、そんなに笑わなくてもいいじゃん!」

「いやー…あまりにも可愛かったからさ」

「…っ!」


クレアの頬は一瞬にして真っ赤に染め上げられる。


「おっ…お粥はそこに置いてあるから!」


真っ赤な顔をゼロスに見られまいと、後ろを向いたまま言う。


「じゃあ…食べたらまた呼んでね?」


クレアが扉に向かったその時、左腕を掴まれる。


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