どのぐらいの距離を走ったのだろうか。
木洩れ日が降り注ぎ、辺りには四季折々の色鮮やかな花が咲いている。
二人は立派な大樹に凭れ掛り、瞳を閉じる。

ゼロス曰く、秘密の場所だそうだ。


「ぽかぽかしてて気持ち良いね〜」

「…ああ」

「ゼロス?」


反対側に凭れ掛かっていたゼロスに声を掛ける。


「どうかしたの?」

「クレアちゃん、目瞑って、左手出して」


クレアは「ちゃん付けは止めてよね」と言いつつ、ゼロスの言った通りにする。

枝葉が風に揺られ、心地好い音を奏でる。


「目、開けていいぜ」


ゆっくりと瞼を開ける。
すると、左手の薬指にシルバーのリングが。
それはシンプルなデザインで、クレアの指にぴたりと嵌った。


「これ、もしかして…」


指輪からゼロスへと視線を向けると、紅い髪を掻きながら少しだけ照れくさそうに微笑んでいた。


「…ゼロス」

「ん?」


クレアはゼロスの頬に自分の唇を軽く重ねる。


「愛してる」

「俺もだぜ、クレア」


そう言ってキスを一つ落とした。




(…そろそろ戻るか?)
(うん!)


2009.08.12. 


thanks:Mr.majorca

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