その光景を目の当たりにした女性達は皆が皆、その場で固まっていた。
「…ぜっ、ゼロスは私のなんだから気安く触らないで!」
クレアが言うと、固まっていた女性達の顔が見る見る赤く染まってゆく。
声にならない悲鳴を上げながら、散り散りに走り去ってしまった。
残されたのは、ゼロスとクレアの二人だけ。
(…あれ?私、今何を言ったんだっけ?)
怒りに身を任せていた為に、クレアは自身が一体何を為出かしたのか、冷静になった今、思い出せないでいた。
「ねぇ、ゼロ…」
後ろを振り返ると、彼はその場で硬直していた。
「えっ…?」
再度、自身が何を為出かしたのか、必死に思い出そうとしていると、いつの間にか硬直が解けたゼロスと目が合っていた。
「…クレアちゃんって、意外と大胆なのね〜♪」
「………あっ!」
「あっ!って何だよ。もしかして無意識?」
「ごっ、ごめんなさ…」
クレアは言葉の続きを言うことが出来なかった。
先程為出かしたことを、今度は自分がされていたから。
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