「ゼロス様、お久し振りですわ!」
「なかなかお姿が見当たらないので、心配しておりました」
「神子様が街にいらっしゃるのを、とても楽しみにしておりましたわ!」
豪華なドレスを身に纏っている女性達が、ゼロスを取り囲んでいた。
「でひゃひゃ!久し振りだね、俺さまの愛するハニー達♪」
あまりにも人数が多いので、クレアの場所からゼロスの姿を確認することは出来ないが、沢山の女性を前に、お得意の神子様スマイルとやらを向けていることだろう。
「…」
気が付いたら、クレアは輪の中へと歩みを進めていた。
「きゃあっ!」
「痛いわね!」
「押さないで頂戴!」
そんな女性達の言葉を気にも留めず、どんどん中心へと近付いて行く。
そして目の前に紅が広がった時、乱暴にゼロスの肩を掴み、こちらに振り向かせる。
「クレアちゃ…」
次の瞬間、クレアは自身にも想像がつかなかないような、とんでもない行動に出た。
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