「実に続きが気になる展開ね…」
クレアは読み終えた本を閉じる。
すると抱き付いていたゼロスから掛かる体重が、ズシリと重くなる。
「ゼロス…?」
クレアが振り返ると、ゼロスは眉間に皺を寄せて眠っていた。
(…そう言えば、ここのところずっと忙しそうだったわ……)
世界が再生され、ゼロスは漸く神子という呪縛から解放された。
しかし教会や王家からは未だ、協力を求められており、昨日も夜遅くまで仕事をしていたらしい。
(…仕方ないから、今日だけはこのままでいてあげるわ)
クレアは本を開き、ゼロスが倒れないように気遣いながら読み始める。
「ふぁ…」
クレアのお陰もあってか、倒れることなく器用に眠り続けていたゼロスが目を覚ます。
「…ん、クレアちゃんありが……」
クレアに抱き付いた体勢のまま、耳元でお礼を述べようとしたその時。
規則的な寝息が聞こえて来る。
少しの沈黙の後、ゼロスは微笑み、クレアの頬に手を添える。
猫が日陰に君はここに
(…ありがとな)
2009.09.04.
thanks:ララドール
*prev - 2 - next#