太陽の光が燦々と降り注ぎ、街の広場には子供達が燥ぎ合っている。
窓の外から楽しそうな声が聞こえる中、クレアは部屋で椅子に腰掛け、読書をしている。

時に、読みかけていた本を閉じて、言う。


「暑いわ、離れて頂戴」

「俺さまは全然暑くないけどな〜?」


クレアが座っている椅子は背凭れがない形なので、後ろからゼロスが首元に抱き付いている状態だ。


「ゼロスが暑くなくても私が暑いの。だから…」

「…嫌だ」


このやり取りももう何回目になるのだろうか。
朝からこの状態なのだが、クレアがゼロスの手を払おうとしても、離してくれる気配はない。


「…仕方がないわね」

「んー」


クレアは溜め息を吐くと再び本を開き、読み始める。

以前にも何回かこんなことがあった。
疲れた時や、何かあって機嫌が悪い時は必ずだ。

まるで小さな子供のように、ゼロスは私に甘えてくる。


(まあ、普段見せない顔を見せてくれるなんて…嬉しいけれど)


クレアは本の頁を捲る。


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