本来なら静寂に包まてれるはずの真夜中、今夜は部屋の中にまで雷鳴が轟いている。
だのに、ゼロスは椅子に腰掛け、ワインを嗜んでいた。

すると、やけに遠慮がちなノック音が響く。


(…誰だ?こんな夜更けに)


不審に思いながらも扉を開けると、寝間着姿のクレアがいた。
小さな身体には不釣り合いなほど大きなクマのぬいぐるみを抱えている。


「…クレアちゃん、どうしたの?」


理由を尋ねると、クレアは俯いていた顔を上げ、ゼロスを真っ直ぐに見つめる。


「一緒に寝ても良い?」

「へ?」


先程までの微酔い気分はクレアの言葉で吹っ飛ぶ。


「……雷…怖いの」

「…」

「…やっぱり、駄目?」

「いやいや!俺さまの部屋でよければどうぞ♪」

(あー…勢いに任せて入れちまったよ。明日アイツらに何て言われる…)

「ありがとうっ!」


ゼロスが今から言い訳を考えていると、クレアの満面の笑みが目の前に。


「いえいえ、可愛いクレアちゃんの為ですから」

「えへへ…ありがとう、ゼロス」


クレアの手を取り、部屋の中へと案内する。


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