ここは、王都メルトキオの貴族街にある一際豪奢な屋敷の一室。


「よーし、今日は腕によりをかけてお掃除しちゃいます!」


屋敷の主に直接雇われ、住み込みで働いている少女――クレアは、水で満たされたバケツの取っ手を聢と握り、意気込む。
その縁には空雑巾が三枚掛けられていた。


「まずは…机!」


手始めに空雑巾で机を丁寧に乾拭きし、もう一枚の濡れ雑巾で端から端まで拭いてゆく。
そして仕上げにまだ使用していない空雑巾で、残った水分を拭い取る。

他の家具も一つずつたっぷりと時間をかけて、丁寧に作業を進めてゆく。
残すところは人が一人通れるぐらいの巨大な窓のみとなる。


「乾拭き乾拭き…う?」


外側から始めようと窓を開けて手を伸ばした瞬間、金色に輝く羽根が舞い落ちてくる。
それはふわりふわりと宙を舞い、クレアの掌に収まる。


「うわぁ…綺麗!」


羽根は今までに見たことがないような珍しい色をしており、また、光り輝いていた。
うっとりとそれに見惚れていたが、自身が仕事の最中であることを思い出し、止まっていた手を動かす。


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