「…やるね、ロイド!」
「ああっ!毎日、頼りになる仲間に指導してもらってるからな」
ロイドが無邪気な笑顔をクレアに向けると、思わず頬が緩んでしまう。
――稽古中だということを忘れて。
ロイドがクレアの懐に入り込み、剣を弾く。
そしてそのまま倒れ込み、クレアの頭のすぐ横にはロイドの剣が突き刺さっていた。
(うっ……自ら隙を作るだなんて、剣士として失格だわ…)
クレアが顔を見上げると、ロイドはにかっと微笑み、
「俺の勝ちだな!」
言って、地面に突き刺さっている剣を引き抜く。
(…見惚れてなければ、ちゃんと躱せたんだけどなぁ……)
そう、クレアはロイドが懐に入った瞬間、彼の姿に、真剣な瞳に魅入られてしまっていた。
本来なら戦闘中に気が逸れるだなんて、あってはいけないことだけれど。
「あれっ…?」
「どうしたの?」
未だクレアの上に馬乗り状態のロイドは、困惑顔になる。
その理由を尋ねると、どうやら剣が思ったよりも深く刺さってしまったらしく、抜けないらしい。
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