「クレアちゃーん、トリック・オア・トリート!」
「とりっくおあ……?」
言葉の意味が分からず、クレアは小首を傾げる。
「何か甘い物、持ってないの?」
「うん。ごめんね」
クレアの言葉を聞いた瞬間、ゼロスはにやりと笑みを浮かべる。
「俺さま、そんなクレアちゃんに悪戯しちゃいまーす!んじゃ、目瞑って」
「うん、分かったよ」
そう言ってクレアは微塵も疑わず、言われた通りにする。
「………!」
唇に柔らかい感触。
それは一瞬触れただけで、すぐに離れて行った。
「ごちそーさま」
瞼を開けると、目の前に満足そうなゼロスの顔。
突然の不意打ちに、クレアは耳まで赤くなってしまう。
「ぜ、ゼロス…」
「何かな〜?続きをして欲しいとかだったら、俺さま大歓げ……ん?」
見ると、クレアはゼロスに向けて手を差し出している。
「トリック・オア・トリート」
「…俺さま甘い物なんて持ってないんだけど」
「じゃあ悪戯決定ね!」
そう言ってクレアは、ゼロスの頬にキスを一つ落した。
じつは私、魔法が使えるんです
(クレアちゃんってば、意外と大胆なのね…)
2009.10.15.
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