「クレア、トリック・オア・トリート!」

「ほひっふほは(とりっくおあ)…?」


ジーニアスの言葉に、クレアはケーキを頬張ったまま答える。


「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!」

「ほへはほはっは(それは困った)!」


クレアは言葉の意味を理解したのか、相変わらずケーキを頬張ったまま眉間に皺を寄せる。


「…ないの?」

「む」


ジーニアスが問えば、クレアはこくりと頷く。


「じゃあ悪戯決定っ!」


何故かジーニアスは嬉しそうにして、クレアが座っているソファの隣にちょこんと座る。


「クレア、あのね……」

「はっひぁー(あったぁー)!!」

「な、何っ!?ボクまだ何も…」


突然発せられたクレアの奇声に、ジーニアスはびくりと肩を震わせる。


「…ほへはへふ(これあげる)」


クレアはにこりと微笑み、ショートケーキの最後の一口をジーニアスの口元まで運ぶ。


「これを、ボクに…?」

「む」

「あ、ありがとうっ!」


(うん。これはこれで幸せかも…♪)


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