「トリック・オア・トリート!」
「…おはよぉ、ロイド」
クレアは寝ぼけ眼を擦りながら、勢いよく部屋に入って来たロイドを見る。
「トリック・オア・トリート!」
「とりっくおあ…?」
「お菓子くれなきゃ悪戯するぜ!」
訳が分からないといった表情のクレアに、ロイドは手を差し出す。
「…お菓子ないのか?」
「うん」
クレアが頷くと、ロイドは満面の笑みを浮かべてベッドへと近付いて来る。
「じゃあ悪戯決定な!」
「あ、ちょっと待って」
ベッドから飛び降り、机の上に置いてあるポシェットの中身を探ると、
「ん、あったあった!」
クレアは嬉しそうにそれを取り出し、ロイドの掌へと乗せる。
「はい、お菓子!これで悪戯されないよね?」
ロイドの掌には小さな赤い物体――《アップルグミ》が乗せられていた。
「じゃあ、着替えるからまた後でねっ!」
そしてロイドは部屋から追い出され、廊下でがくりと肩を落としていた。
(…アップルグミはお菓子の内に入るのか…?)
*prev - 1 - next#