世界がひとつになった今、クレア達一行の長い旅がおわった。色々なものを見て、聞いて、感じて、それぞれの目標や使命に気付いたはず。
もう、みんなでいる必要はないのだ。

ロイドとコレットはエクスフィア回収の旅に、ジーニアスとリフィルはハーフエルフが少しでも受け入れられるよう世界を回るのだという。
しいなはシルヴァラントとテセアラを繋ぐ和平の使者に任命され、推薦者のゼロスは神子という重い呪縛から解放された。……しかし、彼が「神子」として片付けなければならない問題は山積みだ。けれど、出会った頃より幾分か楽しそうに見える。
プレセアとリーガルは震災で親を亡くした子供たちの援助をしたり、瓦礫の撤去など世界の再生に力を尽くしている。

そして、クラトスとクレアは。


「長い間世話になったな」

「…四千年前からの付き合いだもんね」

「ああ」

「…あのね、クラトス」

「何だ」


行かないで。側にいて。
あなたと一緒に生きていたいの。

心の中で呟いた。けれど、それを声に出すことは許されない。
クラトス自信が決断したことなのだからクレアに否定する権利はない。だからといって肯定するわけではないが、そうするしかないのだ。

私、クラトスが誰よりも優しいひとだって知ってるよ。不器用だから勘違いされることもたくさんたくさんあったけど、あたたかい家族に支えられて笑い合うクラトスは本当にしあわせそうだった。
私は、そんなクラトスが好き。ロイドも、アンナさんも大好き。


「どうしたのだ」

「…ううん、なんでもない」

「…そうか」


ふたりの間に沈黙が流れた。たった一秒のようにも感じられるそれがずっと続けばいいと思ってしまう。
閉じ込めたはずの感情が、堰を切って溢れ出してしまいそうだった。


「ロイドを、よろしく頼む。たまには剣の稽古でもつけてやってくれ」

「…うん」

「ではな」


もう、こんな時まで親馬鹿なんだから。
でも、今までありがとう。一緒にいてくれてありがとう。

好きでいさせてくれて、ありがとう。


20130605
thanks ことばあそび

あとがきとお返事

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