外に出したテーブルに料理を並べていたジーニアスは、4人が歩いてくるのを見て大きく手を振った。
「ロイドー!みんなー!!」
「ジーニアス!それに…この料理どうしたの?」
「どうしたのって…、クレアの誕生会の料理に決まってるじゃないか」
「え…、私のために?」
「そうだよ。誕生日おめでとう、クレア」
「ありがとう、ジーニアス」
テーブルに所狭しと並べられた料理は、どれも美味しそうなものばかりだ。
薫る匂いにクレアたちは顔をほころばせる。
と、同時に扉が開いて両手に料理をのせたリーガルが現れた。
彼はクレアたちを認めると、ゆるりと微笑んだ。
「クレア、誕生日おめでとう。心より祝わせてもらおう」
「ありがとうございます、リーガルさん」
ジーニアス、リーガルと続けて誕生日を祝ってもらい、クレアは本当に嬉しそうに笑う。そのうちにジーニアスが中に入っていく。
そして、中から出てきたのは紙を結い上げたレイミアだった。
「クレア、お帰り。みんなお疲れさま!」
「大体いい時間帯みたいだったな」
「うん、ばっちり。こっちの準備は完了だよ」
ゼロスが感心したように料理を眺めながら言えば、さらに扉が開く音がして、プレセア、しいな、リフィルが出てきた。
彼女たちもまたクレアがいることから、たどり着いたことを悟ったらしい。
笑顔でクレアを出迎えた。
「これで全員が揃ったんだね」
「ふむ。それでは誕生日パーティーを始めるとしようか」
そう、リーガルが告げると全員が一斉にゼロスを振り返る。
たじろいだのか一歩下がった彼に、ジーニアスが口を開いた。
「パーティーより先に、ゼロスはやることがあるでしょ?」
「大丈夫だぜ、料理は食べないで待ってるから」
「いってらっしゃーい。ゆっくりしてきてね!」
レイミアの声に送られ、ゼロスはクレアの手を取り、家に向かった。中に入り、扉が閉まると外の笑い声がほぼ聞こえなくなる。
クレアの視線はテーブルに注がれていた。それは美しい包装に包まれた、プレゼントの数々だった。
「すごい…!これ、みんなが?」
「ああ。言ったろ?俺さまがプレゼントの案内役だってな」
「…そう、だったね…」
感動のためか、声を出せなくなっているらしいクレアを見てゼロスは、アイスブルーの瞳を細める。
そしてテーブルから1つ、プレゼントを取り出した。
「これは…?」
「俺さまからのプレゼント。中身は…まあ、開けてからのお楽しみだな」
「……………」
「クレアちゃん?」
「…っ私、本当に…幸せで…。世界再生ができたから、今こんな風にみんなで、過ごせるんだなって…。そう思ったら…」
涙を目いっぱいに溜めつつも嬉しそうに笑う姿は、本当に幸せそうだった。世界再生ができたからこそ、今のこの幸せがある。
クレアは強く強くそのことを噛みしめた。
「クレア」
「ゼロス…?」
「俺さまは…、いや、俺は。お前がいてくれたから、今まで幸せだった。これからも、側にいてくれるか?」
「…っ、うん!」
ゼロスの言葉に、クレアの瞳から涙が伝う。しかしそれは決して悲しみではなく、幸せと歓喜の涙だった。
仲間に祝ってもらえた幸せ、そしてゼロスが隣にいる幸せ。
その全てに感謝しながら、クレアはゆっくりとゼロスのプレゼントを紐解いた――…。
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