「なあ、クレアちゃんはさ…、これおかしいとか思わないわけ?」
「ん?…そだね、おかしいな、とは思ってるよ?」


でも、クレアは続ける。自分の誕生日を祝ってくれていることには変わりない、と。

微笑むその姿に、ゼロスは深くため息をつく。


「叶わねぇな…、ほんとに」
「あ…、でもゼロス、巻き込んでごめんね?」
「…いや、謝る必要はねぇよ。ほら、リフィルさまの家だろ〜?早く行こうぜ」

「うん!」


ゼロスが唇を片方だけ上げて微笑む。そして次の瞬間には、クレアの左手とゼロスの右手は絡んでいて。

彼女がゼロスと手を繋いでいること、そしてそれがいわゆる“恋人繋ぎ”であることを理解したのは、一瞬の後。


「〜〜っ!?ゼ、ゼゼ、ゼロス!何して…っ!」
「何って、ナニ?」
「……もう…」

「さ、リフィルさまの家にゴー!」
「…うん」


この後リフィルの家の前で手は離したものの、クレアは真っ赤になった顔を元に戻すことができず、待っていた彼女に意味深に微笑まれることになったのだった。


「先生…」
「ふふ、本当に…ね。クレア、誕生日おめでとう。元気そうで良かったわ」
「ありがとうございます。先生も、元気そうで良かったです」

「えぇ、ありがとう。それで、誕生日プレゼントだけれど…。要領は理解しているかしら?」

「はい。手紙を探せばいいんですよね?」
「ええ。私の場合は、最初からヒントを与えるわね。“料理”よ」
「料理…?」
「そりゃまた簡単な探し場所だな」
「そうね。…簡単ね」


最後の言葉は、クレアとゼロスには伝わらなかった。二人は、キッチンへと向かう。

そこは几帳面な性格で、料理の上手なジーニアスらしい場所だった。


「あのがきんちょらしいキッチンだな…」
「そだね。すごく綺麗にしてる」


すぐに見つかるだろう、と思われた手紙探しは、意外と難航した。それほど広いキッチンではないはずなのだが…。

どうして見つからないのかわからず、首を傾げていたゼロスだったが。


「…なあ、クレアちゃん。料理といえば、キッチンか?
「うん。そうだよね…?」

「料理といえば、…リフィルさまとか、そんな発想、ありだと思うか…?」
「…あ。…そうだね、あり、かも」


思いつけば、早かった。
リフィルのもとへと戻れば、彼女は微笑みながら待っていた。


「…リフィル先生が、手紙を持っていますか?」
「そうよ。やっと気づいたのね。料理、と聞いた瞬間キッチンへ行くから、思わず笑ってしまったわ」
「…気づいて良かったぜ」

「これが手紙よ」


リフィルが、懐から手紙を出す。そしてクレアに手渡した。

早速封を切ってみると、そこには“村の入口”と書かれていた。


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