さて、学校近くまできた二人は、見知った人影がいることに気づき、急いで駆け寄った。


「プレセア、しいな!」
「クレア!久しぶりだね」
「お久しぶりです…クレアさん」


学校の前にいたのは、プレセアとしいなだった。しいなは一見変わった様子はないが、プレセアは身長が伸びて確実に表情が柔らかくなっていた。

仲間の変化は――特に良い変化は嬉しいものだ。


「クレア、あんた誕生日だよね?」
「う、うん」
「おめでとう!」


しいなが少し照れくさそうに言うとプレセアも、


「おめでとう…ございます…」


と、確かに微笑みを見せた。クレアはにっこりと笑って感謝の気持ちを示す。

プレセアが続けて言葉を発する。


「クレアさん…、クレアさんにプレゼントを渡したいと思っています」
「…プレゼント?」
「そうだよ。でも、ただであげるんじゃ面白くないから、宝探ししようじゃないか」

「…いや、普通にやれよ」
「ゼロスくん…、そこはつっこんではいけません…」
「…ま、クレアちゃんは気づいてないんだろうけどなー」


ため息をついたゼロスが言った通り、クレアにはそんな考えは一切思い浮かんでいなかった。
むしろ楽しそうにしいなと話している。


しいなの説明によると、学校にプレゼントへのヒントが隠されているらしい。

それを見つける必要があるらしいのだが、ヒントはプレセアとしいなが知っていた。


「探せばいいの?」
「そうだよ。どこかに、紙があるからね」

「探すか、クレアちゃん」
「うん、そだね」


数ヵ月ぶりの教室にクレアは顔が綻ぶのを抑えることができなかった。イセリアを出てから、学校には来ていない。

内装はほとんど変わっておらず、自分が慣れ親しんだ雰囲気そのままだった。


「ここを探せばいいの?」
「さあね?それは自分の判断次第サ」
「わからなかったら…、私たちからヒントを出します」


というわけで探し始めたのが、見つからない。それほど広い教室ではないのだが、何故か見つからなかった。

少し時間が過ぎたところで、しいなが不敵に微笑みながら口を開く。


「わからないかい?」
「……悔しいが、見つからねぇな」
「しいなさん、ヒントを出しますか?」
「そうだね…。じゃあヒントだ。…たまには下を見てもいいんじゃないかい?」

「クレアさんなら…すぐにわかると思ってました」


クレアは首を傾げる。ヒントになっているのかいないのかよくわからない。それにプレセアの言ったすぐわかる…とはどういう意味なのだろうか。

しばらく考えていたクレアだったが、ふと思いたつ。そういえば調べたようで調べていなかった、と。クレアは自分の座っていた席に行き、その椅子の下を調べる。

座面の裏側に、封筒があった。


「あ、あった…!」
「やっと見つけたのかい。意外と時間かかったね」
「見つけたんですから…。いいと思います」

「まあ、そうだね。クレア、プレゼント早く見つけるんだよ」
「うん。ありがとう」


学校をあとにしたクレアとゼロスは、早速手紙を開いてみる。
そこには、リフィル宅とシンプルに記されていた――…。


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